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 国土交通省中部地方整備局が愛知県設楽(したら)町で建設中の設楽ダムで、長時間労働を前提とした作業計画が働き方改革の影響で破綻したことが分かった。時間外労働や休日作業の見直しで、ダム本体の土砂・岩石の掘削やコンクリートの打設などに要する期間が3年余り増える。

 工事全体では、当初想定していなかった地滑り対策などの影響で、工期が8年延び、完成が2034年度にずれ込む。工期延長に伴い、事業費は800億円ほど増え、約3200億円に膨らむ。中部地整が22年5月17日に開いた専門家会合で報告した。

設楽ダムの完成イメージ(資料:国土交通省中部地方整備局)
設楽ダムの完成イメージ(資料:国土交通省中部地方整備局)
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 設楽ダムは、愛知県東部を流れる豊川の上流に建設する重力式コンクリートダムだ。堤高129mで、総貯水容量9800万m3。08年に基本計画(事業費約2070億円、工期1978~2020年度)を決定し、16年に現行計画(事業費約2400億円、工期1978~2026年度)に変更した。

 中部地整によると、地質調査や詳細設計の結果、ダム本体の基礎の施工に必要な強度のある岩盤が当初の想定よりも深い位置にあることが判明。現行計画よりも平均で約4.3m掘り下げる必要が生じた。この変更に伴い、土砂・岩石の掘削量が従来の約101万m3から約182万m3へ約8割増加。コンクリートの打設量も約104万m3から約130万m3へ2割以上増える。

 本体の掘削に要する期間は26カ月で、従来よりも2カ月延びる。掘削量の増加で作業期間は14カ月増えるものの、骨材輸送路の見直しに伴う左岸頂部の先行掘削で3カ月、ブルドーザーの機種を44t級から63t級へ大型化することで9カ月、それぞれ短縮する。

 堤頂工を含む本体の打設期間は40カ月で、従来よりも2カ月短くなる。打設量の増加で作業期間は7カ月増えるものの、型枠を用いずに施工できるRCD工法(連続施工方法)への変更で9カ月短縮する。

ダム本体の掘削線の見直し。青線が現行計画で、赤線が変更計画。変更計画では、本体の基礎を岩級区分CM~CH級に着岩させ、風化した土が混在する不安定な地盤を除去する。掘削深は現行計画よりも平均で約4.3m増える見通し(資料:国土交通省中部地方整備局)
ダム本体の掘削線の見直し。青線が現行計画で、赤線が変更計画。変更計画では、本体の基礎を岩級区分CM~CH級に着岩させ、風化した土が混在する不安定な地盤を除去する。掘削深は現行計画よりも平均で約4.3m増える見通し(資料:国土交通省中部地方整備局)
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ダム本体の掘削量とコンクリート打設量の現行計画(青色)と変更計画(赤色)(資料:国土交通省中部地方整備局)
ダム本体の掘削量とコンクリート打設量の現行計画(青色)と変更計画(赤色)(資料:国土交通省中部地方整備局)
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