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 前田建設工業などを傘下に持つインフロニア・ホールディングス(HD)が東洋建設の完全子会社化に向けて2022年3月から実施していたTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わった。任天堂創業家の資産運用会社が対抗提案を出し、株価がTOB価格を上回って推移。成立に必要な応募数が、TOB期限の5月19日までに集まらなかった。

 一方で東洋建設は、任天堂創業家の会社による株式の大規模買い付けの可能性が高まったとして警戒を強める。5月24日に、自社の株式に関する大規模買い付けのルールなどを公表。ルールを順守しない会社には、対抗措置の発動もあり得るとけん制している。

インフロニアHDは2022年5月20日にTOBの結果を発表した(資料:インフロニア・ホールディングス)
インフロニアHDは2022年5月20日にTOBの結果を発表した(資料:インフロニア・ホールディングス)
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 TOBの結果は、インフロニアHDが22年5月20日に発表した。TOB価格は1株770円。発行済み株式の46%に当たる約4383万株の応募を成立条件としていたが、応募は405万株にとどまった。TOBの不成立を受け、インフロニアHDは応募分も含めて買い付けを実施しない。

 同社は前田建設工業と前田道路、前田製作所の3社が経営統合し、21年10月1日に発足した共同持ち株会社だ。前田建設工業は22年3月22日時点で東洋建設の20.19%の株式を保有する筆頭株主だった。

 インフロニアHDと東洋建設は22年3月22日に共同で記者会見を開き、東洋建設を同HD傘下で非上場化して連携を強化すると表明。インフラ運営事業の強化や海外事業のノウハウ獲得、グループ全体のDX推進といったシナジーを創出する狙いを打ち出した。東洋建設はTOBに賛同し、同社の株主に応募を推奨していた。

 だが、TOB開始直後に任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」とグループ企業(以下、YFO)が介入したことで状況が変わった。YFOは東洋建設株の買い集めを開始。4月14日時点で同社株の保有割合は25.28%に達した。