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 北海道大学と清水建設は、既設コンクリート構造物の表面に含浸剤を塗布し、大気中の二酸化炭素(CO2)の吸収・固定化を促進する技術「DAC(ダック)コート」を共同で開発した。含浸剤を塗ることで、一般のコンクリートに比べてCO2吸収量が1.5倍以上に増えるだけでなく、鉄筋の腐食を抑えて鉄筋コンクリート(RC)構造物の耐久性が向上する。

DACコートのイメージ(資料:北海道大学、清水建設)
DACコートのイメージ(資料:北海道大学、清水建設)
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 アミン化合物を主成分とする含浸剤を、既設コンクリート構造物の表面に塗布するだけでよい。アミン化合物はCO2を吸収する特徴がある。そのため、含浸剤を塗ったコンクリートは、一般的なコンクリートより多くのCO2を吸収できる。吸収したCO2とコンクリート中の水酸化カルシウムが反応し、炭酸カルシウムとしてCO2を固定する。一般のコンクリートが固定するCO2は1m3当たり18kg。対して、含浸剤を塗ったコンクリートだと同27~36kgのCO2を大気中から減らせる。

含浸剤をコンクリート表面に塗布している様子。含浸剤は色や臭いがなく粘性も低い(写真:日経クロステック)
含浸剤をコンクリート表面に塗布している様子。含浸剤は色や臭いがなく粘性も低い(写真:日経クロステック)
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 一般的にコンクリートにCO2を固定すると、中性化が進んで鉄筋が腐食する恐れがある。ただし、アミン化合物は防食作用を持っており、中性化による鉄筋の腐食速度を従来の50分の1まで抑制できる。

 アミン化合物は他にも、塩分に対する耐食性を有している。鉄筋表面への塩分付着を阻害し、一般のコンクリートと比べて約1.5倍の塩分濃度まで耐食性を維持する。

DACコートの有無による鉄筋の耐食性の比較(資料:北海道大学、清水建設)
DACコートの有無による鉄筋の耐食性の比較(資料:北海道大学、清水建設)
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 メンテナンスは、10年に1度含浸剤を塗るだけでよい。コンクリートの奥に浸透し、1度目の塗布と同等のCO2を吸収する想定だ。含浸剤を塗布したコンクリートは、解体してもCO2を拡散せず、再利用できる。

DACコートの有無で比較した5年後のCO<sub>2</sub>固定量のシミュレーション結果(資料:北海道大学、清水建設)
DACコートの有無で比較した5年後のCO2固定量のシミュレーション結果(資料:北海道大学、清水建設)
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