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 公共事業の効率的な執行の観点から、自治体のインフラ整備の見直しを求める声が上がっている。財務省の財政制度等審議会は、国土交通省が自治体に配分する社会資本整備総合交付金の非効率な執行を問題視。ストック効果が十分に得られないインフラ整備費の減額を求めている。財制審が2022年5月25日にまとめた建議で明らかになった。

財務省の財政制度等審議会は2022年5月25日に「歴史の転換点における財政運営」と題する建議をまとめた(写真:日経クロステック)
財務省の財政制度等審議会は2022年5月25日に「歴史の転換点における財政運営」と題する建議をまとめた(写真:日経クロステック)
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 財制審がやり玉に挙げた社会資本整備総合交付金とは、自治体向けの個別補助金を1つにまとめたものだ。国が使途を限定する個別補助金は、自治体のニーズに合わない非効率な事業執行や、予算配分を巡る政治家の介入など様々な問題が長年指摘されていた。そこで、自治体の創意工夫を生かせる自由度の高い交付金として、旧民主党政権が10年度に創設した。国交省は22年度予算で5817億円を計上している。

 しかし最近は、当初の目的に沿わない非効率な事業執行が目立つようになった。「ストック効果を高めるアクセス道路の整備」も、その1つ。駅の整備や工業団地の造成など民間投資による事業と供用時期を連係し、人流・物流の効率化や成長基盤の強化に資するアクセス道路を整備する事業だ。国交省は同事業を重点配分の対象と位置付け、自治体の要望額に対する予算配分率を高く設定している。

 こうした補助事業では、民間投資の促進に向けたプロセスが順調に進展することを前提としている。ところがプロセスが中断し、民間投資先となる産業拠点形成が頓挫したり、見通しが立たなくなったりしているにもかかわらず、道路整備だけを進めている自治体が散見される。

 財制審は、国交省の22年度予算配分を引き合いに、「重点配分の要件を満たさないとして配分率を引き下げるのは当然」と述べている。例示したのは、産業拠点の創出に併せて土地区画整理とアクセス道路の整備を立案した自治体への支援だ。

 この自治体は、産業拠点に向かう現道の拡幅の他、鉄道との立体交差化と踏切除去を計画した。しかし、拠点整備予定地で大量の地中障害物が見つかり、18年度までに土地区画整理を中断。区画整理の完了時期を当初の23年度から42年度に20年近く延期した。このため、国交省は自治体の事業が重点配分の要件を満たしていないと判断。22年度予算で自治体への配分率を引き下げた。

社会資本整備総合交付金を用いた自治体のインフラ整備の例。国土交通省は、産業拠点の形成と併せたアクセス道路の整備を重点配分の対象と位置付け、自治体の要望額への配分率を高く設定。要件を満たさない場合には、配分率の引き下げを実施している(資料:財務省)
社会資本整備総合交付金を用いた自治体のインフラ整備の例。国土交通省は、産業拠点の形成と併せたアクセス道路の整備を重点配分の対象と位置付け、自治体の要望額への配分率を高く設定。要件を満たさない場合には、配分率の引き下げを実施している(資料:財務省)
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