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 愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工」で大規模な漏水が発生した問題で、農林水産省東海農政局は2022年6月2日に有識者でつくる復旧対策検討委員会(委員長:石黒覚・三重大学名誉教授)の初会合を開き、水みちの特定に向けて詳細な調査を進める方針を明らかにした。

上流側から見た明治用水頭首工。水位が下がって取水口から水を取り込めなくなったため、右岸側に仮設ポンプを設置して取水している。写真下が上流部。2022年5月31日撮影(写真:農林水産省東海農政局)
上流側から見た明治用水頭首工。水位が下がって取水口から水を取り込めなくなったため、右岸側に仮設ポンプを設置して取水している。写真下が上流部。2022年5月31日撮影(写真:農林水産省東海農政局)
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 明治用水頭首工は、矢作川から工業用水や農業用水を取り込むための施設だ。水門を閉じて上流側の水位を上げ、取水口から水路へ水を引き込む。漏水の影響で、近隣市町への用水供給に支障が出ている。

 東海農政局が22年5月15日に漏水を確認。5月17日に漏水範囲が拡大し、取水量が大幅に減少した。左岸付近で水門の上流側から水が漏出し、下流側の河床から噴出していた。水門の下に生じた水みちを通って水が抜け出る「パイピング現象」が起こったとみられる。

明治用水頭首工の平面図。左岸側でパイピングが起こったとみられる。農林水産省東海農政局の資料に日経クロステックが加筆
明治用水頭首工の平面図。左岸側でパイピングが起こったとみられる。農林水産省東海農政局の資料に日経クロステックが加筆
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 委員会の会合後の会見で、石黒委員長は「頭首工の造成後、60年以上経過していることから、経年的な変化を無視するわけにはいかない」と、施設の老朽化が漏水の原因となった可能性を指摘した。

2022年6月2日に開催した復旧対策検討委員会の初会合後の会見。中央が、委員長の石黒覚・三重大学名誉教授(写真:日経クロステック)
2022年6月2日に開催した復旧対策検討委員会の初会合後の会見。中央が、委員長の石黒覚・三重大学名誉教授(写真:日経クロステック)
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 農水省農村振興局整備部設計課の土屋恒久・施工企画調整室長は、水みちの確認が今後の焦点になるとの見方を示す。「水の入り口と出口は確認できている。それが、どのようにつながっているのかを、これから解明する」(土屋室長)