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 東洋建設が2022年6月24日の株主総会を前に、前田建設工業などを傘下に持つインフロニア・ホールディングス(HD)に対抗してTOB(株式公開買い付け)を提案した任天堂創業家の資産運用会社と対立を激化させている。東洋建設が5月24日に公表した自社の株式に関する大規模買い付けルールの是非を巡り、双方が書簡で応酬。株主総会の行方に注目が集まる。

 東洋建設に対しては、インフロニアHDが22年3月22日に完全子会社化へ向けたTOBを表明していた。しかし、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(YFO)が東洋建設株の買い集めに動き、インフロニアHDの1株770円を上回る1株1000円でのTOBを提示。インフロニアHDのTOBは不成立に終わった。その後、YFOの動きを警戒した東洋建設は5月24日、自社の株式に関する大規模買い付けのルールを公表した。

 ルールは、議決権ベースで20%以上となる株式の買い付け行為に対して、意向表明書の提出や買い付け目的などの情報提供、東洋建設の取締役会における評価期間の設定を求めるもの。守られない場合は新株予約権の無償割り当てを実施して、20%以上の買い付けを阻止する。

 東洋建設は5月24日に取締役会を開き、同日付でルールの実施を決議した。6月24日の株主総会に諮る。「株主と取締役会が十分に熟慮して適切な判断を行うための時間と情報を確保することが目的」としている。

 東洋建設はルールについて、一般的な買収防衛策ではないと説明する。6月8日に出した株主総会の招集通知には議案の名称が「Vpgらによる当社株式についての大規模買付行為等が行われる……」から始まる長文で記載され、「買収防衛策」の文言は見当たらない。出席株主の議決権で過半数の賛同が得られなければ、即時廃止される。

東洋建設は2022年6月24日の株主総会で大規模買い付けに関するルールを議案とした(資料:東洋建設)
東洋建設は2022年6月24日の株主総会で大規模買い付けに関するルールを議案とした(資料:東洋建設)
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 大規模買い付けルール導入の念頭にあるのはYFOだ。同社のグループ会社は4月8日に東洋建設の株式を追加取得し、筆頭株主となっている。YFOはこのルールに反発し、6月1日に東洋建設へ「実質的には有事導入型の買収防衛策の導入を公表したのは残念」と表明した。

 米国の議決権行使助言会社であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)やグラスルイスも大規模買い付けルールを買収防衛策と判断。一般株主がYFOの提案を検討しづらくなるとして、議案への反対を推奨している。