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 二酸化炭素(CO2)を固定化する脱炭素型コンクリートの技術開発が加速している。炭酸ナノバブル水を活用してCO2の固定化と「廃コンクリート」の再資源化を同時に実現できる「カーボンプール(CP)コンクリート」もその1つだ。2022年6月7日に東京都内で、CPコンクリートの実用化を目指すコンソーシアムのキックオフ大会が開催された。

2022年6月7日に開催したCPコンクリート実用化コンソーシアムのキックオフ大会の様子。今後活動が本格化する(写真:日経クロステック)
2022年6月7日に開催したCPコンクリート実用化コンソーシアムのキックオフ大会の様子。今後活動が本格化する(写真:日経クロステック)
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 CPコンクリートの原理は、次の通りだ。セメント焼成工程などで生じるCO2を用いて生成した炭酸ナノバブル水を、セメントの水和生成物に注入。水和生成物を炭酸カルシウム化してCO2を固定化する。水和生成物を含む粒状化した廃コンクリートにこの仕組みを適用すれば、炭酸カルシウムを多く含む再生骨材として利用できる。

CPコンクリートのイメージとコンソーシアムの体制。CO2由来の炭酸ナノバブル水をセメントの水和物に注入してCO2を固定化する。廃コンクリートから再生骨材を得る(資料:新エネルギー・産業技術総合開発機構)
CPコンクリートのイメージとコンソーシアムの体制。CO2由来の炭酸ナノバブル水をセメントの水和物に注入してCO2を固定化する。廃コンクリートから再生骨材を得る(資料:新エネルギー・産業技術総合開発機構)
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 コンソーシアムの掲げる事業テーマは22年1月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の一環として、「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」の1つに採択された。事業規模は約100億円で、約88億円相当を基金が補助する。25年の大阪・関西万博の関連工事で開発した技術を試験導入し、30年度のプロジェクト終了時までに実用化を目指す。

 22年度は、材料試験や配合試験などを通して、CO2固定化のメカニズムを把握する他、炭酸ナノバブル水のコンクリート内部への透過性を確認。当面は道路舗装用のコンクリートへの適用を目指して研究に取り組み、その後、対象を構造物に拡大する予定だ。

 コンソーシアムの設立で中心となったのは、「生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)」の会員企業だ。現場で打設されず生コン工場に返送される「残コン」や「戻りコン」は、全国で年間250万~500万m3発生する。同研究会は、そうした廃コンクリート問題に関心を持つ建設会社や生コン会社が集まり、リサイクル技術の開発などに取り組んでいる。

 「廃コンクリートの資源循環につながる」。コンソーシアムの幹事会社である安藤ハザマ建設本部技術研究所の坂本守・脱炭素技術開発部長は、CPコンクリートの開発の狙いをこう語る。

幹事会社である安藤ハザマ建設本部技術研究所の坂本守脱炭素技術開発部長。キックオフ大会で、CPコンクリートの開発の狙いを説明した(写真:日経クロステック)
幹事会社である安藤ハザマ建設本部技術研究所の坂本守脱炭素技術開発部長。キックオフ大会で、CPコンクリートの開発の狙いを説明した(写真:日経クロステック)
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