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「県の技術力では難しい」

 その後、県は2017年度に翔鷹大橋の耐震補強設計を復建技術コンサルタント(仙台市)に発注した。県は、緊急輸送道路となっている県道の既存橋梁で道路橋示方書における耐震性能3を確保する方針だ。しかし、翔鷹大橋については将来、日沿道に組み込む予定があることなどを理由に、1ランク上の耐震性能2の確保を目指した。

 県は、復建技術コンサルタントによる耐震補強設計が完了した後も、同社に耐震補強の検討業務を別途発注。エクストラドーズド橋について解析を継続した。その結果、「県の技術力では補強は難しい」(道路課の太田哲政策監)と判断し、施工の発注を見送った。20年11月には国に対し、翔鷹大橋を含む県道を国に移管して耐震補強を実施するよう要望した。

国も「技術的な指針がないので困難」

 国交省能代河川国道事務所は、地元の秋田大学の土木系教員らで構成する有識者会議を設置。翔鷹大橋を補強、改修して日沿道今泉IC─蟹沢IC間に組み込むかどうかを検討した。国交省も同橋の耐震性能を「2」に引き上げることを目指した。

 そして22年6月17日、日沿道の今泉IC─蟹沢IC間は新規に整備するのが妥当との方針を打ち出した。翔鷹大橋の耐震補強について、「技術的課題が多く、事業費も膨大になり、実現性が低い」と指摘した。

 能代河川国道事務所の佐々木稔副所長は「技術的課題」について、次のように説明する。「エクストラドーズド橋の耐震補強には技術的指針がない。従って、例えば主塔を補強すると他の部位にどう影響するかといった高度な解析を一から実施しなければならない」

 エクストラドーズド橋は歴史が浅く、耐震補強を必要とするものは少ない。そのため、耐震補強の技術は全国的にも未確立とみられる。土木研究所は、国内におけるエクストラドーズド橋の耐震補強事例について、「承知していない」(構造物メンテナンス研究センター)とコメントした。

地上から見た蟹沢大橋。完成時は国内最大級のエクストラドーズド橋といわれた(写真:秋田県)
地上から見た蟹沢大橋。完成時は国内最大級のエクストラドーズド橋といわれた(写真:秋田県)
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 翔鷹大橋は県道の橋のまま供用を続ける見通しとなった。しかし、緊急輸送道路の一部なので、少なくとも耐震性能3を確保する必要がある。国からボールを投げ返される形となった県道路課の太田政策監は、翔鷹大橋の耐震補強について、「どのように対応するか、改めて検討する」と述べた。