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 公共工事の受注などを目的に技術者の経歴を偽った建設会社が、関連する3つの不正を摘発され、営業停止や指名停止の重いペナルティーを科された事件があった。

 国土交通省近畿地方整備局は、実務経験年数などを偽った技術者を公共工事の現場に配置したことなど、3つの“罪状”を理由に、大阪府知事許可を持つ前田組(大阪府高槻市)を2022年7月15日から4カ月の指名停止とした。

 技術者不足が続く中、公共工事の現場への配置に必要な技術者を確保できず、対応に苦慮している建設会社は多い。しかし、建設会社が技術者の経歴詐称に手を染めれば、大きな代償を払わなければならないことを、この事件は物語る。

国土交通省近畿地方整備局は2022年7月15日に前田組に対する指名停止を公表した。写真は、その報道発表資料の一部(写真:日経クロステック)
国土交通省近畿地方整備局は2022年7月15日に前田組に対する指名停止を公表した。写真は、その報道発表資料の一部(写真:日経クロステック)
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 近畿地整によると、前田組は高槻市から受注した工事を施工する際に、建設業法で規定する資格要件を満たしていない技術者を主任技術者として現場に配置した。同法では、主任技術者の資格要件として、必要な学歴や10年以上の実務経験などを定めている。前田組が現場に配置した技術者は、それら複数の資格要件のいずれにも該当しなかった。

 加えて前田組は、高槻市の一般競争入札への参加に必要な技術者名簿の登録の際に、その技術者が10年以上の実務経験を持つと偽って申請。同市から虚偽の内容に基づく登録を受けた。さらに、21年3月末を審査基準日とする経営事項審査の申請の際にも、技術職員実務経験申立書にその技術者に関する虚偽の経歴を記載した。

 建設業法上の監督処分権限を持つ大阪府は、前田組のこれら3つの不正の事実を認定。主任技術者の資格要件を満たさない技術者の現場への配置と、市の技術者名簿への虚偽登録の2つの不正を合わせて、22年5月10日から30日間の営業停止とした。さらに、経審への虚偽申請に対して、違反行為の是正を命じる指示処分とした。

 近畿地整は、こうした府の行政処分を受け、前田組を4カ月の指名停止とした。前田組が国土交通大臣許可を受けていないため、同社への行政処分を行えないからだ。それでも、4カ月の指名停止は比較的重いペナルティーだという。