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 奈良県広陵町は、自身が住む町営住宅を無許可で解体して自宅を建設した男性が経営する野村建設(奈良県広陵町)を、2022年6月22日から9カ月の入札参加停止とした。奈良県も6月27日から同様の措置を講じている。野村建設が22年5月に約1億2000万円で落札した調整池整備工事の請負契約締結案は、広陵町の6月定例議会で全会一致の否決となった。

2022年度に奈良県広陵町と同県で入札参加停止となった建設会社の一覧。広陵町と奈良県の資料に日経クロステックが加筆
2022年度に奈良県広陵町と同県で入札参加停止となった建設会社の一覧。広陵町と奈良県の資料に日経クロステックが加筆
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 問題となったのは広陵町疋相(ひきそ)にある住宅。町営住宅の管理条例で「町長の承認を得ずに増改築してはならない」と規定されている。しかし、男性は町長の承認を得ないだけでなく、建築確認申請などの手続きも経ずに建て替えていた。

 町は不正行為を認識していたものの、「建て替えに気づいた具体的な時期は記録に残っておらず分からない」としている。規定に反していることが判明した後でも、住宅の明け渡しを求めずに静観していた。

 男性は、無許可で建て替えただけでなく、町営住宅の入居基準の所得を上回っていた。町営住宅は低所得者向けで、入居者の月額所得が原則15万8000円を超えたら退去しなければならない。

 広陵町都市整備課によると、16年度から毎年、男性に所得基準を超えている旨を通知していたものの、強制退去などの手続きは取ってこなかった。

 6月定例議会で、町は約20年前から男性に基準超過の通知を送っていたとの言及があった。「16年度以前の記録は残っておらず、男性が所得基準を超過した具体的な時期は分からない」(広陵町都市整備課の担当者)