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「コロナ融資を借りた」が8割

 こうしたゾンビ企業は、帝国データが自社のデータベースで財務状態を一定期間継続して把握できる一部の企業に限られる。実際には、BISの要件を満たす企業は他にも多数存在する。

 そこで帝国データは、ゾンビ企業の全体像を把握するため、日ごろの調査活動で経営実態を確認している企業を収録した自社データベースを活用。20年度の収録企業146万6000社を対象に、前述のゾンビ企業の比率(11.3%)を当てはめると、同年度のゾンビ企業の総数は約16万5000社と算出された。

 帝国データは同様の手法で、各年度のゾンビ企業の総数を推計した。その結果、リーマン・ショックが起こった08年度から増加を続け、東日本大震災の発生直後の11年度にピークに達した。その後、16年度まで年々減少。17年度以降は、コロナ感染拡大前の19年度まで、ほぼ横ばいで推移した。

「ゾンビ企業率」の推移(資料:帝国データバンク)
「ゾンビ企業率」の推移(資料:帝国データバンク)
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 政府は09年度に、リーマン・ショックによる中小企業の連鎖倒産を防止するため、金融機関に返済猶予などを促す中小企業金融円滑化法を施行。同年度予算には、当時の中小企業対策費としては最大規模の2兆9000億円を計上した。さらに、震災直後の11年度予算でも同様に、2兆3000億円を盛り込んだ。

 11年度までゾンビ企業が増え続けたのは、こうした手厚い政府支援を受けて延命した企業が多かったからだ。20年度にゾンビ企業が前年度比で1割余り増えたのも、同様の要因と考えられる。

 政府は20年3月に政府系金融機関を通じた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を開始。20年度予算に中小企業対策費として27兆7000億円を計上した。リーマン・ショックや震災の直後に編成した予算の10倍の規模に当たる。ゾンビ企業の中には、こうした政府支援を受けた企業が多いとみられる。

コロナ禍における主な中小企業支援の概要(資料:財務省)
コロナ禍における主な中小企業支援の概要(資料:財務省)
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政府の中小企業対策費の推移(資料:財務省)
政府の中小企業対策費の推移(資料:財務省)
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 帝国データが22年2月に実施したコロナ関連融資に関する意識調査でも、ゼロゼロ融資などを「借りた・借りている」と答えた企業の割合がゾンビ企業で8割近くに達した。資金繰りが厳しい企業ほど融資を受けている可能性が高い。

 足元では、コロナ禍の収束の見通しが立たない中、ロシアのウクライナ侵攻などに伴う原油・原材料価格の高騰で、企業の経営環境は悪化している。政府は引き続き中小企業への金融支援などに力を入れる見通しだ。ゾンビ企業の延命が続くことも予想される。

 帝国データでは、将来はコロナ関連融資の返済に加え、後継者不足の問題などから、経営に行き詰まる企業が徐々に増える可能性があるとみている。

コロナ関連融資の借り入れ状況(資料:帝国データバンク)
コロナ関連融資の借り入れ状況(資料:帝国データバンク)
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