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 日鉄エンジニアリング(東京・品川)と極東興和(広島市)が共同で開発したプレキャスト床版継ぎ手「ELSS Joint(エルスジョイント)」が、公共工事で初めて採用された。従来のループ継ぎ手と異なり鉄筋などを用いず、床版を桁に固定して床版間に専用材料を充填するだけで接合できる。

従来のループ継ぎ手(左)とエルスジョイント(右)の構造概要(資料:日鉄エンジニアリング、極東興和)
従来のループ継ぎ手(左)とエルスジョイント(右)の構造概要(資料:日鉄エンジニアリング、極東興和)
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 エルスジョイントで使うプレキャスト床版は、鉄筋を端部からはみ出して配置する必要がない。工場で製作する際に、床版自体の幅を運搬可能な最大幅程度まで広げることができるため、橋梁全体における床版の必要枚数を減らせる。

 鉄筋がはみ出さない分、工場での型枠製作が容易だ。現場での接合も複雑な作業を必要としないため、短時間で終えられる。試算では、ループ継ぎ手の場合と比べて現場工期を11%短縮でき、床版製作を含む労務工数を14%削減できる。

初適用した公共工事での床版接合施工の様子(写真:日鉄エンジニアリング、極東興和)
初適用した公共工事での床版接合施工の様子(写真:日鉄エンジニアリング、極東興和)

 エルスジョイントは、床版が桁や壁高欄などに固定されている部材であることを利用した工法だ。床版同士の境目である継ぎ手の幅を輪荷重載荷幅(20cm)より十分小さくし、車両通行などによる変形を継ぎ手ではなくプレキャスト床版の剛性に依存するようにした。