大林組は、ロボットによるコンクリートの打設技術と3D(3次元)プリンターを使ってプレキャストコンクリート(PCa)ブロックなどの構造物を自動で製造するシステムを開発した。PCaブロックを製造するための鋼製型枠が不要になる。加えて、複雑な形状や多品種の構造物を容易に製造できる。
今回開発したシステムによるPCaブロックの製造方法には、「流し込み方式」と「吹き付け方式」の2種類がある。
流し込み方式では、3Dプリンターでセメント系材料を使って、PCaブロックの外殻と内殻を製造。2つの殻の間に鉄筋かごを設置し、打設経路をプログラミングしたロボットが生コンクリートを自動で流し込む。外殻と内殻の製造で必要な3Dプリンターの制御情報は設計図から直接生成できる。
対して吹き付け方式は、3Dプリンターで内殻だけを造って、その周囲に鉄筋かごを設置。外側から鉄筋かごに向かってコンクリートを吹き付けた後に、凹凸のある表面をロボットでならして完成となる。
大型のPCa構造物の製造に使う鋼製型枠は特注生産のため高いコストがかかっていた。新しく開発したシステムによる製造方法では、外殻や内殻が鋼製型枠の代わりになる。これらは鋼製型枠よりも安価に製造可能で、材料費だけでなく3Dプリンターの導入費用などを含めて比較しても、製造コストを最大50%低減できる計算だ。