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 東芝は、目視点検で確認できない鉄筋コンクリート(RC)床版内部のひび割れ位置を、センサーを使って可視化する技術を開発した。道路事業者向けのサービスとして、2024年度の提供開始を目指す。サービスは、東芝プラントシステムと共同で展開する。

開発した床板内部の健全度可視化技術のイメージ。東芝の資料に日経クロステックが加筆
開発した床板内部の健全度可視化技術のイメージ。東芝の資料に日経クロステックが加筆
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 技術の仕組みはこうだ。車両走行時に床版に伝わるわずかな振動を、床版の裏側に設置したセンサーで計測する。設置場所の異なる複数の計測データを使えば、振動が床版表面のどの地点で発生したかを解析できる。

 このとき、床版内部が健全なら振動はスムーズに伝わるため、発生源となる「震源」が正確に分かる。しかし、内部にひび割れがあると、ひび割れ箇所で振動の伝わり方が変わってしまうため、うまく解析できない。

ひび割れがあると、振動の伝わり方が変化する。東芝の資料に日経クロステックが加筆
ひび割れがあると、振動の伝わり方が変化する。東芝の資料に日経クロステックが加筆
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 このうまく解析できない「乱れ」を利用する。床版の裏側に満遍なくセンサーを取り付け、数時間分のデータを蓄積。振動の発生源を解析した結果を重ね合わせて、データの密度が薄い箇所は、乱れの影響を多く受けた部分となる。つまり、内部にひび割れがある可能性が高いというわけだ。

 この発生源分布の解析結果に色を付けることで、「健全度マップ」として可視化できるようになる。

震源分布の解析結果を使って床版の健全度を可視化する。東芝の資料に日経クロステックが加筆
震源分布の解析結果を使って床版の健全度を可視化する。東芝の資料に日経クロステックが加筆
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