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着想のきっかけはゲリラ豪雨

 開発のきっかけは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」だった。東芝は14~18年度の5年間、橋梁のセンシングシステムの開発で参画していた。

 プロジェクトで、東芝はRC床版のひび割れを長期的に監視する目的でセンシング技術を研究していた。構造物内で損傷が生じたときの微小な弾性波を検出する「アコースティック・エミッション(AE)法」と呼ぶ手法を使ったものだ。AE法では損傷の発生や進展を主に検知するため、本来は短時間の計測で損傷の有無を特定するのが難しい。

 ところがプロジェクトの実証実験中、10分間ほどゲリラ豪雨が降り、ノイズが混ざって解析対象にできないデータがあった。そのデータを偶然解析したところ、床版表面全体が振動している中では既に発生しているひび割れ位置を抽出できることに気がついた。これをきっかけに、今回の可視化技術の仕組みを思いついたという。

 現時点では床版のみを対象としているものの、コンクリート造であれば他の構造物にも技術自体は適用可能だ。例えば橋脚の場合、ある側面にセンサーを設置し、裏側から打撃などで振動を与えると同じように健全度を調べられる。四方から調査できるため、床版の場合よりもひび割れ位置の特定精度を上げられる可能性がある。