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 再生可能エネルギーの発電事業を巡り、自治体や住民の間で土砂流出など災害の発生や環境・景観への悪影響を懸念する声が強まっている。政府は再エネ事業のトラブル防止に向け、省庁横断的な取り組みを強化する。

太陽光発電の事業区域から濁水が流出した例(写真:林野庁)
太陽光発電の事業区域から濁水が流出した例(写真:林野庁)
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 再エネ特措法の固定価格買い取り(FIT)制度などについて、森林法や盛土規制法など関係法令の許認可の取得を申請要件とする他、発電設備の運転中に関係法令違反が判明した場合はFIT交付金など売電収入の交付を停止する仕組みを導入する。

 経済産業省と農林水産省、国土交通省、環境省の4省共管の有識者会議が2022年7月28日に提言案をまとめた。提言案については、7月30日にパブリックコメント(意見公募)を開始。8月30日まで意見を募り、正式に決定する。

 再エネ事業では、環境影響評価法や電気事業法、再エネ特措法、森林法、農地法、盛土規制法など、関係法令が多岐にわたる。開発許可などを巡る関係法令の“横串”での対応の不足がトラブルを招く要因といわれている。

 自治体では、災害の防止や環境・景観の保全を目的に、発電設備の設置を規制する再エネ条例の制定の動きが加速している。16年度に26件だった条例数は、21年度に184件と7倍に急増した。その4割(73件)は対象を太陽光発電に限定している。

 自治体や住民の間では、森林伐採を伴う太陽光発電設備の設置に対する懸念が強い。林野庁によると、林地開発許可を受けた太陽光発電のうち、約9%で施工中に土砂流出や濁水などの問題が発生している。

 このため、林野庁の有識者会議は太陽光発電の林地開発許可基準の見直しを検討。22年6月に公表した中間取りまとめでは、太陽光発電に関する林地開発許可の対象を現行の1ha超から0.5ha超に引き下げる規制強化案を盛り込んだ。

再エネ発電設備の設置に関する主な関係法令(資料:経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省)
再エネ発電設備の設置に関する主な関係法令(資料:経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省)
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資源エネルギー庁に寄せられた再エネ事業に関する懸念の声(資料:経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省)
資源エネルギー庁に寄せられた再エネ事業に関する懸念の声(資料:経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省)
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