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 愛媛県は、県から受注した調査業務を無断で再委託した建設コンサルタント会社を2022年7月29日から4カ月の指名停止とした。再委託先の社員を自社の社員と偽っていた。匿名の通報を受けた県の調査で判明した。

愛媛県が定める「再委託履行承認申請書」の様式。事前に届け出て再委託の承認を受けていれば問題にはならなかった(資料:愛媛県)
愛媛県が定める「再委託履行承認申請書」の様式。事前に届け出て再委託の承認を受けていれば問題にはならなかった(資料:愛媛県)
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 指名停止にしたのは、愛媛県補償コンサルタント(松山市)。21年10月に、県四国中央土木事務所が発注した県道上分三島線の物件調査に関する業務を745万円(税抜き)で落札した。

 業務発注後、県庁で物件調査を担当する用地課と四国中央土木事務所の双方に、同社が無断で再委託をしているとの通報があった。用地課が事実確認を進め、違反が明らかになった。

 愛媛県が準拠する「公共土木設計業務等標準委託契約約款」では、業務を受注した会社が別の会社に再委託する場合、軽微なものを除き、発注者への承認申請が必要だと規定している。再委託の理由や契約金額などを示して許可を得なければならない。しかし、愛媛県補償コンサルタントは一連の手続きを怠り、契約に違反していた。

 県が特に問題視したのは、同社が再委託先の社員1人に立場を偽らせていた点だ。実際には別会社の社員にもかかわらず、元請け会社の社員の1人として業務に当たっていたという。