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 国土交通省の建設工事受注動態統計調査(以下、建設受注統計)の不正処理で、国内総生産(GDP)の伸び率(%)への影響が最大0.1ポイントにとどまることが分かった。内閣府が2022年8月15日に、同年4~6月期のGDP速報に併せて、試算結果を公表した。

 GDP(名目)の対前年度伸び率への影響は、18年度と19年度が0.0ポイント、20年度と21年度が0.1ポイントだった。不正処理によって、GDPの伸び率が本来よりも最大0.1ポイント低く抑えられていたことになる。

名目の国内総生産(GDP)の対前年度伸び率の改定と、建設工事受注動態統計調査の不正処理の是正に伴う建設総合統計の改定の影響。建設総合統計は建設受注統計を基に算出する(資料:内閣府)
名目の国内総生産(GDP)の対前年度伸び率の改定と、建設工事受注動態統計調査の不正処理の是正に伴う建設総合統計の改定の影響。建設総合統計は建設受注統計を基に算出する(資料:内閣府)
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建設工事受注動態統計調査の不正処理(合算)のイメージ(資料:国土交通省)
建設工事受注動態統計調査の不正処理(合算)のイメージ(資料:国土交通省)
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 建設受注統計は国の基幹統計の1つで、建設業許可を持つ約1万2000社を対象に毎月実施している。国交省は、建設会社の調査票の提出が期限に間に合わなかった場合、データを書き換え、遅れた月の分を提出された月の分に合算。一方、提出されなかった月に計上した推計値を削除せずに残していたため、二重計上が生じた。

 建設受注統計は建築着工統計調査と併せ、建設工事の出来高を推計する建設総合統計の算出の基になる。建設総合統計はGDPの算出に使われるため、国交省は22年1月、統計の専門家から成る検討会議を設置。建設受注統計と建設総合統計について、二重計上など不正処理の影響を排除した遡及改定の検討に着手した。

 しかし、国交省が過去の調査票の廃棄や書き換えをしていたため、建設会社が提出した元データを用いて遡及改定することは不可能だった。そこで検討会議は、調査票の書き換えが少なく、二重計上などの影響をほぼ正確に把握できる20年度分のデータを基に遡及改定する手法を考案。22年5月に報告書をまとめた。

 国交省は、検討会議の手法を用いて建設受注統計を遡及改定し、22年8月5日に公表した。二重計上が始まった13年度から直近の21年度までの9年間では、元請けと下請けを合わせた総受注高が改定前に最大5.2兆円(6.5%)過大となっていた。

 国交省はさらに、同期間の建設総合統計の工事出来高を算出。建設受注統計の不正処理などに伴う工事出来高への影響は、マイナス0.3兆円(マイナス0.5%)からプラス0.3兆円(0.6%)となった。内閣府は、こうした建設総合統計の遡及改定を基に、18~21年度のGDPへの影響を試算した。

建設工事受注動態統計調査の不正処理に関わる遡及改定の影響(資料:国土交通省)
建設工事受注動態統計調査の不正処理に関わる遡及改定の影響(資料:国土交通省)
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