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 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の未開通区間のうち神奈川県内を通る横浜湘南道路と横浜環状南線の開通見通しが白紙になった。相次ぐシールド機の事故に伴う工事中断や地元への配慮に伴う計画の見直しによって工期が長引いている。事業主体の国土交通省などが2022年8月4日に開いた神奈川県圏央道連絡調整会議で明らかにした。

首都圏中央連絡自動車道の未開通区間のうち、神奈川県内にある横浜湘南道路と横浜環状南線(出所:国土交通省横浜国道事務所)
首都圏中央連絡自動車道の未開通区間のうち、神奈川県内にある横浜湘南道路と横浜環状南線(出所:国土交通省横浜国道事務所)
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 横浜湘南道路は新湘南バイパスの藤沢インターチェンジ(IC)と栄ジャンクション(JCT)を結ぶ延長7.5kmの、横浜環状南線は戸塚ICと釜利谷JCTを結ぶ延長8.9kmの自動車専用道路だ。前者は24年度、後者は25年度の開通を予定していた。圏央道ではその他、千葉県内の大栄JCT―松尾横芝IC間(延長18.5km)で、24年度の開通を目指して工事が進められている。

 横浜湘南道路では19年11月、シールド機1台が地中に残置されたH形鋼に接触して故障。掘進を停止していた。21年6月に掘進を再開したが、シールド機の向きを反転させる今後の工程でさらに遅れが生じることが分かった。

地中のH形鋼に接触して破片を取り込んだシールド機のチャンバー内の様子。赤丸がH形鋼の破片(写真:国土交通省横浜国道事務所)
地中のH形鋼に接触して破片を取り込んだシールド機のチャンバー内の様子。赤丸がH形鋼の破片(写真:国土交通省横浜国道事務所)
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 当初は回転たて坑に隣接させて地中に函渠(かんきょ)を設けて、シールド機を反転させる坑内スペースを広げる計画だった。だが地元の要望を受けて地上に遮音壁を設置したことなどで、函渠の施工が遅れている。そのため地中の狭い空間で、シールド機を慎重に移動させる必要が生じた。H形鋼との接触後、シールド機を完全に修復したわけではないので、反転時にはカッタービットの点検などの手間もかかる見込みだ。

横浜湘南道路の藤沢回転たて坑の平面図と写真。シールド機の出入り口と反対側に作業スペースとして設ける予定だった函渠の施工が遅れた(出所:国土交通省横浜国道事務所)
横浜湘南道路の藤沢回転たて坑の平面図と写真。シールド機の出入り口と反対側に作業スペースとして設ける予定だった函渠の施工が遅れた(出所:国土交通省横浜国道事務所)
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地元の要望を受けて地上に設けた遮音壁(写真:国土交通省横浜国道事務所)
地元の要望を受けて地上に設けた遮音壁(写真:国土交通省横浜国道事務所)
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 シールド機反転後の再発進時に後続設備を取り付ける作業にも時間がかかりそうだ。可燃性ガスが確認された地中を掘り進めるために防爆構造を取り入れたことで、後続設備の延長が約200mと一般的なシールド機に比べて長い。反転たて坑の真上は国道1号を通すために蓋を設けているので、資材の搬出入に使える経路が限られる。地上の開口部は3カ所で、それぞれ長さ4.2m、幅7mの大きさしかない。

国道1号の交通を確保するために資材を搬入する開口部が限られる(出所:国土交通省横浜国道事務所)
国道1号の交通を確保するために資材を搬入する開口部が限られる(出所:国土交通省横浜国道事務所)
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 横浜湘南道路はシールドトンネルの区間が5.4kmを占める。泥土圧式のシールド機2台で本線トンネル2本を掘削する。22年7月末時点で上下線10.8kmのうち計約2.6kmを掘進済みだ。今後2本のシールドトンネルを地中で接合する箇所があり、難工事となる見込みだ。