全1679文字
PR

 国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」(以下、建設受注統計)の不正処理で、建設業界に実害が生じていたことが分かった。

 中小企業を対象とした政府の資金繰り支援で、土工・コンクリート工事業など18業種が対象から漏れ、支援を受けられない時期があった。舗装工事業など37業種は、誤って対象となり、“過剰支援”を受けた可能性がある。中小企業庁が2022年8月19日に明らかにした。

 厚生労働省が19年1月に公表した毎月勤労統計調査の不正処理でも、雇用保険受給者への過少給付が発生している。政府統計で不正が行われると、その統計を利用した政策にゆがみが生じ、対象者に被害が出ることが改めて浮き彫りになった。

建設関連業種における「セーフティネット保証5号」の不適切な指定状況。2013~21年度に、要件を満たしていたのに指定されなかった「指定漏れ」が延べ32業種、要件を満たしていなかったのに指定された「誤指定」が延べ59業種あった。業種によっては、複数年度にわたって不適切な対応を受けた(出所:中小企業庁の資料を基に日経クロステックが加工)
建設関連業種における「セーフティネット保証5号」の不適切な指定状況。2013~21年度に、要件を満たしていたのに指定されなかった「指定漏れ」が延べ32業種、要件を満たしていなかったのに指定された「誤指定」が延べ59業種あった。業種によっては、複数年度にわたって不適切な対応を受けた(出所:中小企業庁の資料を基に日経クロステックが加工)
[画像のクリックで拡大表示]

 中小企業庁によると、国交省の統計不正の影響が出たのは「セーフティネット保証5号」の業種指定だ。同制度は、全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業の資金繰りを支援するため、信用保証協会が通常の限度額と別枠で債務の80%を保証する。原則として四半期に一度、業況データに基づいて対象業種を指定する。

 建設関連の業種指定では、建設受注統計のデータを用いている。国交省が不正処理の影響を排除した同統計の遡及改定の結果を8月5日に公表したことを受け、建設関連49業種を対象に、13年10月から21年8月までの28回分の指定状況を確認した。

 その結果、要件を満たしていたのに指定されなかった「指定漏れ」が18業種、要件を満たしていなかったのに指定された「誤指定」が37業種あった。12業種は指定漏れと誤指定の両方の対象となっていた。指定漏れや誤指定が複数回に及んだ業種もあった。延べ数でみると、指定漏れは32業種、誤指定は59業種だった。

 指定漏れで最も多かったのは、はつり・解体工事業と、他に分類されない職別工事業の3回。誤指定では、金属製屋根工事業の4回が最も多かった。指定漏れと誤指定の合計では、金属製屋根工事業が6回で最多。金属製屋根工事業では、15年から20年にかけて毎年、いずれかの不適切な対応が行われていた。

「セーフティネット保証5号」の概要(出所:中小企業庁)
「セーフティネット保証5号」の概要(出所:中小企業庁)
[画像のクリックで拡大表示]