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 東京都日野市がごみ収集車の専用道路を公園内に設けたのは違法だと住民らが訴えた訴訟で、最高裁は2022年9月9日、市の上告を退ける決定を下した。これによって、ごみ収集車専用道の設置を違法とし、大坪冬彦市長に2億5000万円余りの賠償を命じる判決が確定した。

 大坪市長は同日、「市側の主張が認められなかったことは残念だが、最高裁の判断を厳粛に受け止めたい。今後、関係者、関係機関と協議した上で、その違法性解消に取り組んでいきたい」とのコメントを発表した。

東京都日野市が公園内などに設置したごみ収集車専用道路の一部。2020年11月撮影(写真:日経クロステック)
東京都日野市が公園内などに設置したごみ収集車専用道路の一部。2020年11月撮影(写真:日経クロステック)
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 問題のごみ収集車専用道は、日野市が近隣の国分寺市や小金井市と共に整備したごみ処理施設に出入りする車両のために、市内の都市計画公園である北川原公園や隣接する国道20号バイパスの高架下などに設置。17年9月までに工事を完了した。

 しかし住民80人余りは、市が都市計画を変更せずに公園内にごみ収集車専用道を設置したのは都市計画法に違反すると批判。大坪市長を相手取り、道路の整備に要した費用の賠償を求め、17年9月に東京地裁に提訴した。

 市は、ごみ収集車専用道について、都市公園法に基づく公園と道路の効用を兼ねた兼用工作物である上に、30年間に限って暫定的に利用すると説明。都市計画を変更する必要はなく、都市計画法違反に当たらないなどと主張した。

 東京地裁は20年11月、「(ごみ収集車専用道の設置は)都市公園の効用を有するものとはおよそ認め難いところ、(道路が)暫定的な利用に供されるものであるとはいえず、その設置は都市計画の実質的な変更と評価すべきもの」と判断。住民らの主張を認め、大坪市長に賠償を命じる判決を出した。

 東京地裁は、ごみ収集車専用道について、平日の午前8時半~午後4時半に1時間当たり36台(1分間当たり0.6台)の頻度でごみ収集車が走行し、道路の両側に設置された高さ1.5mのフェンスが他区域との往来を遮断している点に着目した。

 市は、平日の午後5時半~午後8時と土・日曜日の午前8時~午後8時にフェンスの開口部から出入りできるようにしている。これに対して東京地裁は、ごみ収集車が走行しない平日夜間と週末に限って一般利用できるよう開放している以上のものではなく、都市公園の効用を持つ兼用工作物に当たると認められないと判断した。

 市は、ごみ収集車専用道は30年間の暫定的な利用に供されるもので、その利用の終了後に公園として整備を予定しているから、都市計画の実質的な変更と評価されるものではないとも主張した。

 しかし東京地裁は、国土交通省の都市計画運用指針で都市施設の整備目標をおおむね20年としていることや、都が11年12月に改定した「都市計画公園・緑地の整備方針」で北川原公園予定地を今後10年間で優先的に整備すべき公園・緑地(優先整備区域)として選定している点に言及。ごみ収集車専用道の30年間の利用期間は、都市計画の実質的な変更に当たらない暫定的な利用と評価するには、長きに過ぎるといわざるを得ないと断じた。