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 2019年の東日本台風(台風19号)で被害を受けた河川の復旧工事で、長野県が必要な県議会の議決を経ずに工費増額の変更契約を締結していたことが分かった。労働者や資材の調達難で契約変更が重なり、工費が議決対象の5億円以上に達していたことを見落とした。県河川課によると、こうしたミスは過去に例がない。同課は22年9月22日に開会する9月定例会に追認議案を提出する。

2019年の東日本台風(台風19号)で被害を受けた千曲川の小坂橋上の護岸(写真:長野県)
2019年の東日本台風(台風19号)で被害を受けた千曲川の小坂橋上の護岸(写真:長野県)
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 問題があったのは、県佐久建設事務所が発注した「令和元年公共土木施設災害復旧工事」。川上村を流れる千曲(ちくま)川と支流の黒沢川で被災した護岸4カ所を復旧した。対象は、千曲川の金山橋下(延長58.2m)と小坂橋上(同59m)、黒沢川の原(同603m)と丸畑橋上(同77.3m)。

 20年5月18日に、守谷商会・丸共建設JVと3億9435万円で契約した。工期は、20年5月19日~21年2月26日。しかしその後、労働者や資材の確保などが難航し、契約を4回変更。工期を延長し、工費を増額した。

 1回目の契約変更は、21年1月22日。工事用道路の借地契約で地権者との調整に時間を要したため、工期を21年3月31日まで延長した。

 2回目は、21年3月17日。労働者の確保に要する諸経費と資材調達難に伴う資材単価をそれぞれ変更。工費を4億1395万2000円へと2000万円近く増額した。併せて、工期も21年9月30日まで半年延長した。

 東日本台風の復旧工事が県内で同時期に多く行われていたことから、千曲川の金山橋下と黒沢川の丸畑橋上の2カ所の現場で、労働者の確保が困難になった。労働者を県外から招かざるを得ず、その滞在費を確保する必要が生じた。

 加えて、護岸工事に必要なコンクリートブロックが品薄となった。より遠方からブロックを調達せざるを得なくなり、その運搬費が想定よりも膨らんだ。さらに、建設発生(残土)の処理や既存ブロックの撤去などの費用も増えた。

千曲川の金山橋下の護岸復旧工事。右が完成時の様子(写真:長野県)
千曲川の金山橋下の護岸復旧工事。右が完成時の様子(写真:長野県)
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黒沢川の丸畑橋上の護岸復旧工事。右が完成時の様子(写真:長野県)
黒沢川の丸畑橋上の護岸復旧工事。右が完成時の様子(写真:長野県)
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