全1765文字
PR

 談合防止を目的に廃止した指名競争入札が、福島県で本格的に復活する可能性が高まってきた。県が一般競争入札の問題点と認識する地元企業の受注率の低さが、2020年度から試行している指名競争で「改善」されたからだ。県は、22年9月6日に開いた入札制度等監視委員会(委員長:伊藤宏・福島大学名誉教授)で、指名競争と条件付き一般競争を比較した評価結果を公表した。

福島県は2022年9月6日に入札制度等監視委員会を開き、指名競争入札の評価結果を公表した。写真はその公表資料の一部(出所:福島県の資料を基に日経クロステックが加工)
福島県は2022年9月6日に入札制度等監視委員会を開き、指名競争入札の評価結果を公表した。写真はその公表資料の一部(出所:福島県の資料を基に日経クロステックが加工)
[画像のクリックで拡大表示]

 県は、一般土木工事や舗装工事など5工種で、「地域の守り手育成型方式」と呼ぶ指名競争を試行している。対象は、土木部と農林水産部が発注する予定価格3000万円未満の一部工事だ。地元の中小建設会社の保護と育成を目的に導入した。

 同方式で、県は事前に国や県、市町村における災害対応や除雪業務、維持補修業務の受注実績などを基に「地域の守り手育成型企業」を認定しておく。工事を発注する出先の建設事務所は、管内にある認定企業の中から複数の指名候補者を選ぶ。

 県は、指名競争と一般競争の20~21年度の入札結果を基に、指名競争の効果を分析。地域の守り手育成型方式の認定企業を対象に、22年7月5日から15日まで実施したアンケートの結果も評価した。

 工事箇所と同じ市町村に拠点を持つ企業が指名競争で受注した案件の割合は78.7%だった。一般競争の65.2%よりも13.5ポイント高かった。指名先の選定基準の一つに「地理的要件」を掲げ、工事箇所に近い企業を優先的に指名している点が影響したとみられる。

上の表は、2020年度と21年度に実施した指名競争入札と条件付き一般競争入札における所在地別受注者数。下の表は、指名競争入札の工種別の内訳。受注者が工事箇所と同じ市町村に拠点を持っているかどうかをまとめた(出所:福島県の資料を基に日経クロステックが加筆)
上の表は、2020年度と21年度に実施した指名競争入札と条件付き一般競争入札における所在地別受注者数。下の表は、指名競争入札の工種別の内訳。受注者が工事箇所と同じ市町村に拠点を持っているかどうかをまとめた(出所:福島県の資料を基に日経クロステックが加筆)
[画像のクリックで拡大表示]

 アンケートでは、指名競争による地元企業の受注機会の確保について「図られている」「どちらかといえば図られている」との回答が6割以上に上った。

 競争性の低下による落札率の上昇はあまり生じていない。平均落札率は、指名競争が95.8%、一般競争が94.8%と大きな差はなかった。県は、これらの結果を踏まえ、指名競争が地元企業の育成につながっていると評価した。