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 国土交通省の職員が入札に関する秘密情報の漏洩を図った事件で、働きかけた建設会社に対し、見返りとして報酬を要求していたことが判明した。入札への参加が見込まれると考えて職員が接触した相手は15者に上る。国交省関東地方整備局が2022年9月21日、内部調査の結果を公表した。

利根川下流河川事務所(写真:日経クロステック)
利根川下流河川事務所(写真:日経クロステック)
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 情報漏洩を企てたのは、関東地整利根川下流河川事務所の職員だ。管理職ではなく、発注業務には関わっていない。所属部署や年齢など、具体的な情報は明らかにしていない。

 利根川下流河川事務所は、この職員が情報漏洩を企てた排水樋管新設工事の入札など公告済みだった3件について、公正性が保てないとして22年8月23日までに入札手続きを中止した。

 関東地整の発表によると、問題の職員は秘密情報の提供で建設会社から見返りを得ようと画策し、22年7月26日から27日までのわずか2日の間に極めて精力的に動いていた。

事件の概要(出所:国土交通省関東地方整備局の資料を基に日経クロステックが作成)
事件の概要(出所:国土交通省関東地方整備局の資料を基に日経クロステックが作成)
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 入札に関する情報を入手できる立場になかったため、契約担当や発注担当などいくつもの関係部署に接触。その際、管理職の職員から注意を受けることもあったが、それでも情報収集を続行した。さらに、15者にも上る建設会社に対し、情報提供を働きかける電話をかけていた。

 事件の経緯は以下の通り。問題の職員は7月26日、当該工事の発注担当の課に所属する管理職でない職員2人に対し、業務で使用するとして設計書データの提供を依頼。3件の設計書データを受け取った。

 続いて、契約担当課の係長級の職員に対し、3件の入札参加者に関する情報の教示を依頼。係長級の職員はそれを拒否して、同課の課長に報告した。

 問題の職員は、他の部署からも入札参加者に関する情報を聞き出そうとして、その部署の管理職の職員に拒否され、注意を受けている。

 その一方で、設計書データを用いて予定価格を算出するため、自身と同じ課に所属し、積算システムへのログイン方法を知っている職員に電話で連絡。その職員が不在だったため、代わりに対応した職員からログイン方法を聞き出した。

 問題の職員は1件の工事について、設計書データを基に積算システムで工事費を把握した。他の2件は、システムのログから、積算システムを使っていないことが確認されている。