国土交通省北陸地方整備局は、中小建設コンサルタント会社への普及が遅れているBIM/CIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング/コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の活用促進に向けて新たな発注方式を試行している。3次元モデルとコスト情報のひもづけといった付加的な要求を最小限にとどめ、BIM/CIM活用業務を受注するハードルを下げる。
国交省が発注する詳細設計の業務では、2022年度から小規模なものを除き、原則としてBIM/CIMを用いると定めている。BIM/CIM活用業務の受注者は構造物の3次元モデルをつくるだけでなく、発注者による「要求事項(リクワイヤメント)」を満たす必要がある。
リクワイヤメントは、BIM/CIMモデルの用途や目的に応じて発注者が定める。国交省が22年度に定めたリクワイヤメントは、(1)施設の配置計画案などの比較評価(2)地質などのリスクに関するシミュレーション(3)住民などへの対外説明(4)概算工事費の算出(5)施工計画などの検討(6)複数の業務・工事における工程管理や情報共有(7)既存の地形などの3次元データ作成――の7項目だ。
北陸地整が発注する一般的なBIM/CIM活用業務では、7項目の中から4項目を選んで指定している。例えば(4)の概算工事費の算出を求める場合、受注者はBIM/CIMモデルに単価情報などを入力する。発注者がBIM/CIMモデルを使って工区割りをする際に、工区ごとの概算工事費を算出しやすくするのが目的だ。
一方、BIM/CIMを活用した経験が少ない中小の建設コンサルタント会社は、構造物の3次元モデルをつくるだけで手いっぱいでリクワイヤメントを満たすのが難しい場合がある。BIM/CIM活用業務の受注をちゅうちょする一因となっている。
北陸地整が20年度から試行している発注形式では、指定するリクワイヤメントを2項目以下に制限。さらに、実施するリクワイヤメントは契約後に受発注者が相談して決める。受注者の能力や得意分野などを加味できる仕組みにすることで、BIM/CIM活用のハードルを下げる。