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 神奈川県横須賀市が横須賀港の新港地区で進める新たな埠頭の整備事業が、想定していた土砂の量を確保できず遅れる見通しとなった。埋め立て土砂の投入を始める予定の2029年度に必要量を確保できないと分かったからだ。最短で25年度に予定していた着工の見通しが立っていない。市が22年9月6日、整備スケジュールの見直しを表明した。

横須賀港の新港地区にある既存の埠頭。2021年7月に北九州との間にフェリーが就航したため、係留施設の不足などの問題が生じている(写真:横須賀市)
横須賀港の新港地区にある既存の埠頭。2021年7月に北九州との間にフェリーが就航したため、係留施設の不足などの問題が生じている(写真:横須賀市)
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 背景には、横須賀市の想定の甘さがある。当初の計画では、港内で発生する浚渫(しゅんせつ)土に加え、近隣の大型公共工事で発生する建設残土などを、埋め立てに利用する予定だった。

 しかし、21年度に新埠頭整備の計画を策定する際、道路会社や鉄道会社、建設会社などへのヒアリングを実施していなかった。

 その後、工事の早期着手に向けて、22年4~8月に実施したヒアリングで、確保できる土砂量が、計画していた300万m3の3分の1程度にとどまると判明した。

 当初24~25年度に開通を予定していた横浜湘南道路や横浜環状南線などは現在、開通見通しが白紙となったものの、29年度まで工事を継続しているかは不透明だ。