建設工事の段階確認や材料確認などを発注者の監督職員が現場から離れた場所で実施する「遠隔臨場」について、施工者の9割が時間削減の効果を実感していることが国土交通省関東地方整備局の調査で明らかになった。関東地整が2022年10月7日に調査結果を公表した。
遠隔臨場では、施工者がカメラで撮影した現場の映像や音声をWeb会議システムなどで共有し、発注者が遠隔地からパソコンの画面上で確認する。監督職員が複数の現場を移動する手間を減らしたり、新型コロナウイルスの感染拡大を防止したりする効果が期待されている。
関東地整が21年10月1日から22年7月31日までに終えた工事のうち遠隔臨場を取り入れた266件の施工者を対象に、22年8~9月にWeb上でアンケートを実施。遠隔臨場の効果や課題について尋ね、152件の回答を得た。
工事1件につき遠隔臨場で施工者側が減らせた時間は「1日未満」が最も多く61%を占めた。3日以上の時間を削減した現場は12%。時間削減の効果を認める回答は合計で92%に上った。関東地整技術調査課は「発注者が現場に来るまでの待ち時間が減ったのではないか」とみる。
遠隔臨場の効果を複数回答で尋ねたところ、「新型コロナの感染予防」が最も多く39%に上った。「時間の効率化」が37%、「突発の立ち会いなど」が12%と続いた。
今後も遠隔臨場を実施したいかどうかについては97%が「希望する」と答えた。しかし、「遠隔臨場に使う機器類などの費用を全額受注者が負担するとしても実施したい」との回答はわずか5%にとどまった。
関東地整では22年から、遠隔臨場を導入する全ての工事で発注者が費用を全額負担している。発注者による費用負担は遠隔臨場の導入を後押ししそうだ。