2030年度の開業を目指して工事が進む北海道新幹線の札幌延伸で、資材価格の高騰や追加工事の発生などによって事業費が膨らむ恐れが出てきた。国土交通省は費用を試算し直す考えだ。同省が12年に認可した事業費1兆6700億円を変更する可能性がある。
国交省は、北海道新幹線の新函館北斗―札幌間の整備に関する事業費や工期を精査するため、有識者会議を設置。22年9月30日に初会合を開いた。会議では、工費削減や工期短縮の工夫も検討する。
国交省によると、コスト増大の要因として消費増税の他、ロシアのウクライナ侵攻や円安による鉄やセメントなど資材価格の高騰がある。加えて、地盤が軟弱な場所でトンネルを補強する追加工事や、11年の東日本大震災を受けて改定した耐震基準への対応が挙げられる。
厚生労働省が18年に改正した「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」で、切り羽の状態を常時監視する「切り羽監視責任者」の配置が求められるようになったことも影響しているという。