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 ナノバブル(超微細気泡)を軽油に混入することで重機の燃費を向上させる手法に注目が集まっている。建設発生土などの運搬業務を手掛ける大煌工業(埼玉県川口市)がダンプトラックで、奥村組土木興業(大阪市)が岩盤切削機でそれぞれ「ナノバブル軽油」の現場実証を進める。ナノバブルの触媒機能によってディーゼルエンジンの燃焼反応を促進させる狙いだ。

ナノバブル軽油を燃料とした岩盤切削機。石灰岩の採掘現場で稼働する(写真:奥村組土木興業)
ナノバブル軽油を燃料とした岩盤切削機。石灰岩の採掘現場で稼働する(写真:奥村組土木興業)
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 両社にナノバブル軽油の重機への活用を提案したのは、いずれの現場実証でもアドバイザーを務めるスペースK(東京・世田谷)だ。同社の金井誠共同代表は、「ナノバブルの活用があまり進んでいない土木分野でも、その特性を生かせるはずだと考えた」と、ナノバブルに着目した理由を説明する。ナノバブルが持つ特性は、重機の燃費向上につながる触媒機能だけではない。界面活性機能によって汚れ成分を活性化し、水に溶けやすくする。重機に使う軽油に混ぜれば、排出ガスの浄化も期待できる。

 スペースKの提案を受けて大煌工業は2018年12月、ナノバブル軽油をダンプで燃料として使うための現場実証に着手。ガソリンスタンドで使う給油設備を改造し、ナノバブルを発生させて軽油に混入する仕組みを付け加えた装置を22年10月に開発した。同装置で製造したナノバブル軽油をダンプで使ったところ、通常の軽油と比べて1日平均の燃費が最大で約2割向上した。

ナノバブル発生装置を追加した給油設備。ガソリンスタンドで使う設備を改造した。右は、給油ノズルとホースの接続部にナノバブル発生装置をつなげた(写真:大煌工業)
ナノバブル発生装置を追加した給油設備。ガソリンスタンドで使う設備を改造した。右は、給油ノズルとホースの接続部にナノバブル発生装置をつなげた(写真:大煌工業)
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 ダンプの排ガスを浄化する効果も確認できた。排ガスの汚染度を示す一般的な指標である光吸収係数が、通常の軽油を使ったダンプでは0.04m-1だったのに対して、ナノバブル軽油では0.01m-1だった。ナノバブル軽油を使った方が、排ガス中に黒煙などの粒子状物質が少なくなることを示す結果だ。

 今後、大煌工業は保有するダンプ135台に加え、協力会社のダンプ360台にナノバブル軽油の導入を進める予定だ。「消防法など関連法令の規制はクリアできそうだ。燃料商社などとも連携して、全国のガソリンスタンドにも導入を促していく」と、同社の山下将弘代表取締役は話す。