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 ダムや頭首工といった農業水利施設に付随する用水路などの44.5%で、予防保全に向けた計画を作成していないことが分かった。そのうち76.7%は、計画の基礎情報となる健全度を診断していなかった。対策が後手に回り、補強や更新の費用が増大する恐れがある。会計検査院が2022年10月26日に調査結果を公表し、農林水産省に改善を求めた。

農林水産省が入居する中央合同庁舎第1号館(写真:日経クロステック)
農林水産省が入居する中央合同庁舎第1号館(写真:日経クロステック)
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 会計検査院は農水省が管轄する全国86地区の農業水利施設に関して、田畑と接続する用水路や排水路など「付帯施設」の維持管理状況を調査した。受益面積が100ヘクタール以上の1097カ所が対象だ。そのうち489カ所で「機能保全計画」を作成していなかった。

 付帯施設の機能保全計画は、5段階で評価する健全度の診断結果に基づいて施設の劣化予測や対策の工法と実施時期といった項目を取りまとめる。計画に沿って予防保全を進め、修繕や更新の費用を含むライフサイクルコストの削減を目指す。農水省が作成した手引に従って、施設の整備を担う都道府県や市町村などが任意で立案する。

 農水省は、都道府県などに対して保全対策の工事の実施状況を報告するよう求める一方で、その方法や施工時期を決める根拠となる機能保全計画の作成状況を把握していなかった。作成を促すなどの措置も講じていなかった。

 劣化が進んで、健全度が最も悪い「S-1」や2番目に悪い「S-2」と診断された施設を使い続けるには、大規模な補強・更新が必要となる。機能保全計画がなかった付帯施設について、適切に予防保全に取り組んでいれば修繕や更新の費用を低減できた可能性がある。

付帯施設の機能保全計画の作成状況(出所:会計検査院)
付帯施設の機能保全計画の作成状況(出所:会計検査院)
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