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 前田建設工業とメタウォーターは共同で、有害物質の有機フッ素化合物のPFOSやPFOAに汚染した水の可搬式浄化装置「De-POP’s ION」を開発した。トラックなどの運搬車に積載して運べるサイズにしたことで、貯水槽などの水を抜かずに浄化処理できる。2023年1月ごろの運用開始を目指す。

PFOS・PFOA浄化装置「De-POP’s ION」の全体配置(写真:日経クロステック)
PFOS・PFOA浄化装置「De-POP’s ION」の全体配置(写真:日経クロステック)
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 開発した装置は砂ろ過とイオン交換樹脂塔の2つのユニットから成り、両ユニットを汚染水が入った貯水槽などに接続して使う。最初に貯水槽から汚染水を砂ろ過ユニットに送り、砂利などを除去する。後工程での目詰まりを防ぎ、浄化性能を最大限発揮するためだ。続いて、イオン交換樹脂塔ユニットでPFOSなどを吸着除去し、環境省の公共用水域の暫定目標値50ng/L以下まで浄化。貯水槽に戻す。1時間当たり約5m3の処理能力を持つ。

左は6気筒のイオン交換樹脂塔ユニット。右はユニット内部に入っているイオン交換樹脂本体で、汚染水を通すことでPFOSやPFOAを除去する(写真:日経クロステック)
左は6気筒のイオン交換樹脂塔ユニット。右はユニット内部に入っているイオン交換樹脂本体で、汚染水を通すことでPFOSやPFOAを除去する(写真:日経クロステック)
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 開発の背景には、PFOSなどによる汚染水の浄化に対して、社会的なニーズが高まっていることがある。20年に沖縄県の米軍普天間飛行場でPFOSなどを含む泡消火剤の大規模な漏出事故が発生。さらに、同年の環境省によるPFOSなどの全国調査で、各地の地下水や河川水において、国の暫定目標値を超過する例が相次いだ。両社はそうした機運を捉え、21年11月に共同研究を開始した。

 PFOSなどの汚染水を浄化する場合、従来は処理施設まで汚染水を運搬する必要があった。開発した装置だとトラックなどで現場まで運べ、運搬の時間短縮と費用削減につながる。さらに、貯水槽などと装置内を循環させて汚染水を浄化するので、貯水槽などの水を抜く必要がない。例えば、非常時に備えて水を抜くことを避けたい消火用水槽などで有効だ。

トラックによるPFOS・PFOA浄化装置の運搬イメージ(出所:前田建設工業)
トラックによるPFOS・PFOA浄化装置の運搬イメージ(出所:前田建設工業)
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 「水資源が乏しい離島や、水を抜くと生物の移転措置が必要となるビオトープなどで、水をためたまま処理可能な特性が生かせる」。前田建設工業土木事業本部土木技術部の赤松佑介主査は、こう説明する。