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 リニア中央新幹線のトンネル工事で発生するヒ素などを含む「要対策土」を巡り、処分候補地のある岐阜県御嵩(みたけ)町の住民から反発の声が上がっている問題で、JR東海は有害物質を封じ込める具体的な対策工法を住民に説明した。同社は町から処分地を買い取り、恒久的に管理したい考えだ。

 御嵩町は掘削土の処分方法について住民と議論を深めるために、2022年5月からJR東海や専門家を交えた説明会を開催している。22年11月10日に4回目の会合を開き、JR東海が掘削土による盛り土の配置や形状、排水構造について住民に説明した。

 御嵩町内の「美佐野工区」では、押山川付近から名古屋側に美佐野トンネルを3.3km、品川側に日吉トンネルを3.4km掘削する。トンネルの掘削土量は計約90万m3に上る見込みだ。戸田建設・守谷商会JVが20年4月~26年6月の工期で施工している。22年9月時点で押山川付近の工事用道路を造成中だ。

2022年9月23日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した美佐野工区の平面図と地質縦断図(出所:JR東海)
2022年9月23日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した美佐野工区の平面図と地質縦断図(出所:JR東海)
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2022年8月11日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した掘削土の盛り立て候補地(出所:JR東海)
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 御嵩町内での掘削土の盛り立てについて、同町とJR東海はまだ合意していない。住民が特に反発しているのが、掘削土のうち約22万m3を占める想定の要対策土だ。美佐野工区の地層のうち「瑞浪層群」では、自然由来のヒ素やフッ素が土壌汚染対策法の基準値を超えている恐れがある。「美濃帯」には長期的に酸性化し得る黄鉄鉱が存在する可能性がある。

 トンネルの掘削土は土対法の対象外だが、JR東海は岐阜県が埋め立てに関して設けた条例を踏まえて管理する方針を示している。具体的には厚さ1.5mm以上のポリエチレン製遮水シート2枚と不織布3枚を交互に重ねた袋状の保護層を造り、その中に要対策土を閉じ込める。保護層を重ね合わせる箇所は融着して密閉する。遮水シートを劣化させる紫外線を防ぐために一番上の不織布には遮光機能を持たせ、その上に厚さ3mの覆土をする。

2022年11月10日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した遮水シートによる要対策土の封じ込めのイメージ(出所:JR東海)
2022年11月10日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した遮水シートによる要対策土の封じ込めのイメージ(出所:JR東海)
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 盛り土の高さは35mに達する場所もある。盛り土を安定させるため、底に排水管を設ける。さらに、要対策土の層の内側には排水のための暗渠(あんきょ)管を通し、盛り立て作業の間に流れ込んだ水をタンクに隔離する。

2022年11月10日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した暗渠(あんきょ)管と排水層のイメージ(出所:JR東海)
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2022年11月10日に御嵩町が開催した説明会でJR東海が示した盛り土の排水管のレイアウト(出所:JR東海)
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 要対策土を十分に密閉できているかどうかを確認するため、JR東海は盛り土の排水管を流れる水の水質を定期的に計測する考えだ。次回の説明会では具体的な監視方法の紹介を予定している。説明会は23年1月まで、計6回の開催を予定している。