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 インフラ老朽化の予測技術を手掛ける米FRACTAの日本法人、Fracta Japan(東京・渋谷)は水道事業者が保有する水道管路台帳の欠損をAI(人工知能)で補完するサービスの提供を始めた。記録が残る周辺の管路や水道施設の情報を基に、管の口径や素材、敷設年数を自動で推定する。老朽化が進む水道インフラの全体像を見える化して、自治体の更新計画を立てやすくする。

 開発したサービス「バーチャルパイプ」は、2022年11月1日に国内提供を始めた。料金は1事業者につき、管路に関する紙の書類やCADデータがある場合で約500万円から。事業合併や被災、職員の人手不足などにより、管路の台帳に不備がある自治体など水道事業者の利用を見込む。

 サービスではまず、事業者が持つ管路の位置情報や周辺地域で記録が残っている台帳のデータを用意し、地理情報システム(GIS)とひも付けたデータベース上に整理する。これをFRACTAが開発したアルゴリズムによって読み込み、配水池や浄水場などの水道施設や一部の管路の経過年数、それらの位置関係を基に、データベースの空欄を自動で埋めていく。Fracta Japanが管路台帳を完備した自治体と組み、地域の半分のデータが消失したと仮定してデータの推定を試みたところ、約9割の管路の敷設年度をプラスマイナス5年以内の誤差で推定できた。管の素材や口径についても推定の精度が8割以上だった。

「バーチャルパイプ」の操作画面のイメージ。周辺の管路や水道施設の情報などを基に管の敷設年度や材質などを推定する(画像:Fracta Japan)
「バーチャルパイプ」の操作画面のイメージ。周辺の管路や水道施設の情報などを基に管の敷設年度や材質などを推定する(画像:Fracta Japan)
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 水道インフラは全国で老朽化が進んでいる。日本水道協会によると、全国の管路総延長のうち1年間で更新した割合を示す「更新率」は18年度の実績で0.68%。現状のペースだと全ての管路の更新に140年以上かかる。そのため法定耐用年数を超えて使われている管路も少なくない。管路データを基に重点的な更新箇所を計画する自治体がある一方、管路台帳が不完全な自治体は維持管理の検討を進めることさえ難しい状況だ。