飛島建設と国際緑化推進センターは共同で2022年12月1日、液状化対策として地中に打設した丸太が約10年間、劣化せずに健全な状態で炭素を貯蔵し続けられたことを実証した。千葉県木更津市内で2013年に実証実験として打設した丸太の掘り出し調査を実施して確認した。
実証実験では、液状化対策として丸太を加工せずにそのまま打設し、地盤密度を高めて地耐力を確保する「LP-LiC工法」を採用した。二酸化炭素(CO2)を吸収・固定した丸太を地中に埋めるので、炭素を貯蔵する効果もある。0.65m間隔で長さ4mの丸太を64本打設し、地表から5mの深度まで25m2の範囲を地盤改良。1年間に1.6世帯が排出する量に相当するCO2を貯蔵した。
同工法では、森林での伐採から現場施工まで、CO2の排出をほぼ伴わない。炭素貯蔵効果を考慮すると、CO2の削減量が排出量を上回る「カーボンネガティブ」を実現可能だ。ただし、薬剤注入などを実施すれば、CO2排出量が増す。「丸太をそのまま使用することにこだわっている」。同工法を開発した飛島建設の沼田淳紀環境ソリューション部長は、こう語る。
一般に、丸太を地中に埋設した場合、腐朽菌などの影響によって腐りやすくなる。しかし、液状化しやすい地盤だと地下水位が高いので、丸太の下側の大部分が水中に位置して空気に触れず、生物劣化の影響を受けにくい。沼田環境ソリューション部長は、「地下水位が高い箇所で生じる液状化の対策に丸太を使うのは非常に合理的だ」と話す