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 政府は2022年12月23日、一般会計総額が過去最大となる114兆3812億円の23年度予算案を閣議決定した。22年度当初予算を6兆7848億円上回り、初めて110兆円を超えた。過去最大の更新は11年連続。高水準の公共事業関係費を維持し、国土強靱化に重点的に取り組む。

 公共事業関係費は6兆600億円。22年度当初予算の6兆574億円から26億円増と、ほぼ同水準の金額となった。そのうち国土強靱化関連は2%増の3兆9497億を計上した。

公共事業関係費の推移。2023年度は22年度とほぼ同水準だ(資料:財務省の資料を基に日経クロステックが作成)
公共事業関係費の推移。2023年度は22年度とほぼ同水準だ(資料:財務省の資料を基に日経クロステックが作成)
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 国土交通省関連予算の一般会計総額は、22年度の5兆8508億円から0.4%増の5兆8714億円。一般会計総額のうち同省所管の公共事業関係費は5兆2502億円で、ほぼ横ばい。

 23年度予算案と一体で編成した歳出総額28兆9222億円の22年度第2次補正予算では、国交省関連の公共事業関係費に1兆6132億円を配分。うち、「防災・減災・国土強靱化のための5か年加速化対策」の3年目として1兆358億円を投じる他、物価高騰対策や岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の加速に充てる。

2023年度予算案における国土交通省の関連予算。「増減率」は22年度当初予算に対する割合(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
2023年度予算案における国土交通省の関連予算。「増減率」は22年度当初予算に対する割合(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
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2023年度予算案における国土交通省の主な事業。経済成長などを柱に打ち出す(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
2023年度予算案における国土交通省の主な事業。経済成長などを柱に打ち出す(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
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 23年度予算案では、河川流域全体で水害対策に取り組む「流域治水」に5406億円(22年度当初予算比3.9%増)を計上。流域水害対策計画の作成を義務付ける「特定都市河川」の指定拡大や既存ダムの再生といった、21年に全面施行された流域治水関連法の取り組みを加速させる。

 インフラ老朽化対策には7388億円(同2.6%増)を投入する。ドローンなど新技術の活用や、包括的民間委託といった官民連携を促進し、維持管理の高度化を図る。また、予防保全への転換を推進して、維持管理・更新費を削減する。自治体の防災・減災対策を支援する防災・安全交付金には8313億円(同1.9%増)を計上。盛り土の安全対策などを推進する。21年7月に静岡県熱海市で発生した土石流による被害を踏まえた措置だ。