パシフィックコンサルタンツが手掛けた関越自動車道の橋脚補強設計で、構造計算や鉄筋の配置、アンカーの埋め込み長など複数の箇所でミスがあったことが分かった。東日本高速道路会社が工事発注の準備段階で同社に設計の考え方を確認したところ、設計者が構造計算の誤りを発見。これを受けて同社が設計全体をチェックし、他に4件のミスを見つけた。
東日本高速は業務が粗雑だったとして、パシフィックコンサルタンツを2022年12月13日から2カ月の競争参加資格停止措置とした。
設計ミスがあったのは、関越道の入間川橋と都幾川橋それぞれの上下線の計4橋だ。これらを含む9橋について、パシフィックコンサルタンツが現況の耐震性の確認と、その結果に基づく橋脚の補強設計を20年8月~21年10月の業務期間で実施した。契約金額は1億3310万円だった。
東日本高速によると、判明したのは(1)梁補強の構造計算ミス(2)縁端距離を確保する拡幅で配筋の誤り(3)アンカーの埋め込み長の誤り(4)段差防止構造の設計ミス(5)図面の表記上の不備――の5つのミス。
最初に見つかったのが(1)だ。壁式橋脚の梁を鉄筋コンクリートで拡幅し、PCケーブルでプレストレスを導入する設計だった。拡幅部には1断面当たり4本のせん断補強筋を配置。ところが、図面自体は間違っていなかったが、構造計算の際に鉄筋を1本と誤ってしまった。
その結果、計算上の耐震性が不十分となったため、繊維補強シートによる補強を追加した。正しい構造計算に基づけば繊維補強シートは不要なので、過大設計だった。
鉄筋本数に対する換算断面積の計算過程に誤りがあったことが原因だという。さらに、計算過程を含む数値の整合性の確認を怠っていた。