全国の自治体が発注した工事の施工時期に関する調査で、2021年度に都道府県の6割で前回調査の19年度よりも平準化が進んだことが分かった。一方で、市区町村では都道府県ほど平準化が進んでいない。
国土交通省と総務省が23年1月11日に、21年度の工事を対象とした調査結果を公表した。調査は18年度の工事を対象に初めて実施し、今回が3回目だ。工事実績情報システム(コリンズ)を基に、4~6月における1カ月当たりの平均稼働件数を年度全体の平均稼働件数で割った数値を「平準化率」とした。1に近いほど、施工時期の平準化が進んでいる状態を示す。
都道府県の発注工事では平準化率が全国平均で0.80と、19年度の工事を対象とした調査と比べて0.03ポイント上昇した。山形県(0.21ポイント増)や群馬県(0.15ポイント増)など30の都県で伸びた。数値の上位には宮城県(1.00)や大分県(0.92)が並ぶ。
一方、茨城県では0.63(0.12ポイント低下)、石川県では0.65(0.15ポイント低下)など15の道府県で悪化した。
市区町村では平準化率の全国平均が0.62と、都道府県に比べて低めだ。地域別では最も数値の高い沖縄県内の自治体平均でも0.69だった。中部(0.52)や近畿(0.55)が平均を押し下げた。
人口規模別では、大規模な自治体に比べて小規模な自治体の方が数値のばらつきが大きい。人口10万人以上の市区では0.40以上0.80未満の自治体が8割を占めた。町村では0.80以上の自治体と0.40未満の自治体がそれぞれ2割を超えた。
国交省と総務省は公共工事における受注者の処遇改善や経営環境の安定を図るために、自治体に工事の平準化を呼びかけている。1月11日には調査結果の公表と併せて自治体向けに通知を出し、平準化で先行する自治体の取り組みを参考にするよう求めた。