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住友林業が中止を決めた風力発電事業。建設中の2基の風車は撤去する予定。2021年12月撮影(出所:住友林業の三重風力発電所に反対する地域住民の会)
住友林業が中止を決めた風力発電事業。建設中の2基の風車は撤去する予定。2021年12月撮影(出所:住友林業の三重風力発電所に反対する地域住民の会)
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 住友林業が津市白山町で進めている風力発電計画を取りやめることが分かった。建設中の2基の風車は撤去する。建設段階で中止するのは珍しい。果たして一体何が起こっているのだろうか。

 この計画は、住友林業の所有林などで高さ約120mの風車4基(出力7.49MW)を建設するもの。2020年7月に着工し、22年3月の運転開始を目指していた。

 ところが、21年10月に住民団体が建設中の2基の風車撤去と事業計画取りやめを求め、抗議文を住友林業に送付。住友林業はこれを受け、風車の建設をいったん中止することになった。

 三重県知事や津市長に風車建設を取りやめる内容の署名を提出するなど、反対活動を展開してきた住民団体「住友林業の三重風力発電所に反対する地域住民の会」によると、住友林業はその後の22年4月と9月に住民説明会を開催したが、「住民への説明が十分ではない」などの理由で団体側が再び抗議したという。

 住友林業側は22年9月の説明会で、残る風車2基のうち1基の建設中止を住民側へ伝えた。もう1基については22年12月の説明会で騒音などについて説明する予定だった。しかし、新型コロナウイルス禍のため説明会は中止となり、そのまま工事は取りやめとなった。

 なお、計画の中止に伴い、建設中の風車2基は撤去する見通しだ。