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 清水建設は2023年1月31日、約500億円を投じてジャパン マリンユナイテッド(JMU、横浜市)に建造を依頼した自航式SEP船(自己昇降式作業台船)「BLUE WIND(ブルーウインド)」の引き渡しを受けた。広島県呉市にあるJMUの事業所で引き渡しが行われた。

世界有数の作業性能を備えた自航式SEP船「BLUE WIND」(写真:清水建設)
世界有数の作業性能を備えた自航式SEP船「BLUE WIND」(写真:清水建設)
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 BLUE WINDは洋上風力発電施設の建設工事において、世界最大級の作業性能を備える。大型風車の設置にも対応できる、最大揚重能力2500tのクレーンを有する。JMUにとっては、引き渡しベースで2件目となるSEP船建造だ。

 大きさは全長142m、幅50m、深さ11m。総トン数は約2万8000t。最大搭載人員は130人。

 クレーンの最高揚重高さは158mに達する。8MW風車なら最大7基分、12MWなら同3基分の全部材を一度に搭載可能である。

 作業時は、4本の脚を海底に着床させる。ジャッキアップすることで、船体を海面から切り離す。こうして水深10~65mの海域での作業に対応する。

4本の脚を海底に着床させる(写真:ジャパン マリンユナイテッド)
4本の脚を海底に着床させる(写真:ジャパン マリンユナイテッド)
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BLUE WINDの仕様。2022年10月時点の資料(出所:清水建設)
BLUE WINDの仕様。2022年10月時点の資料(出所:清水建設)
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 BLUE WINDは、SEP船の設計で実績があるオランダのGustoMSC(グストMSC)が基本設計を担当した。そしてJMUが詳細設計を手掛けた。

 この船の特徴は、太平洋沖で発生しやすい10秒程度の長周期波浪(うねり)などに左右されない安定した作業環境を確保しやすいことだ。既存のSEP船と比べて、5割程度高い稼働率を発揮できるように設計されているという。

 動力を備える自航式の作業船なので、曳航(えいこう)の船を用意する必要がない。そのため、効率的な施工計画を立案しやすい。予備日を入れても、8MW風車なら7基を10日、12MW風車は3基を5日で、それぞれ据え付けられる。