全1152文字
PR

 建設業界の人手不足や資格の不正取得といった問題を受け、国土交通省は2024年度から施工管理技術検定の受験要件などを見直す。受験に必要な実務経験の年数を学歴によらず統一する。受験者の実務経験を監理技術者などが工事ごとに証明する案も示した。23年2月8日に省令などの改正案を公表し、意見公募を始めた。

国土交通省は技術検定に関する省令の改正案を示した。受験者の実務経験を確認する方法を見直す方向性も整理している(出所:国土交通省)
国土交通省は技術検定に関する省令の改正案を示した。受験者の実務経験を確認する方法を見直す方向性も整理している(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 改正後は、19歳以上であれば誰でも土木施工管理技士などの1級技術検定の第1次検定を受験できる。実務経験の年数を問わない。

 第2次検定の受験資格は、原則として第1次検定の合格後に5年以上実務に携わると得られる。請負金額が4500万円(建築一式では7000万円)以上の大規模な工事で監理技術者の指導などを1年以上受けると、必要な実務経験を3年に短縮できる。「監理技術者補佐」の立場で1年以上にわたって現場管理を担った技術者も第2次検定の受験が可能だ。

 従来、受験者の学歴や卒業学科に応じて受験要件が変化する仕組みだった。1級土木施工管理技士の第1次検定の場合、大学で土木を学んだ技術者は卒業後3年以上の実務経験があれば受験できる。一方、土木以外の学科で高校を卒業して建設会社に入社した技術者では、11年6カ月以上の実務経験が必須だった。若手技術者が建設業界に定着する前に離職してしまう一因とみられていた。

 ただし、土木や建築の専門学科を卒業するメリットは残る。第1次検定が一部免除されるからだ。例えば大学で土木工学を専攻した技術者は、土木施工管理技士の第1次検定のうち工学基礎に関する問題を解く必要がない。従来制度との整合性や公平性を踏まえ、免除制度は29年度以降に開始する。