2023年2月6日にトルコ南部で2回発生したマグニチュード(M)7超の地震は、2つの断層で連鎖して起こった可能性が高いことが分かった。東北大学災害科学国際研究所が、2月10日に開催したトルコ・シリア地震に関する調査速報会で発表した。
米地質調査所(USGS)によると、シリア国境付近で2月6日午前4時17分(現地時間)、M7.8の地震が発生。その震源から北に100kmほど離れた場所で、同日午後1時24分(現地時間)にM7.5の地震が起こった。
M7.8の地震は、トルコ南東部に伸びる活断層の東アナトリア断層付近で発生したとみられる。東アナトリア断層は、アラビアプレートとアナトリアプレートの境界に位置する東アナトリア断層帯の一部だ。
一般的に、震源断層が長いほど地震の規模が大きくなる。地震地質学が専門の遠田晋次・東北大学災害科学国際研究所教授は「M7.8の地震を起こした震源断層の長さは300kmほど。この長さは、日本列島を縦断する断層帯『中央構造線』の大部分に匹敵する」と説明する。
M7.5の地震は、東アナトリア断層帯に含まれるチャルダック断層付近で発生した。遠田教授は「大きな地震が発生すると、震源周辺の応力場が短時間で変化する。M7.5の地震の震源周辺は、M7.8の地震で応力が急増し、地震発生率が上がっていた。2つの地震は連鎖して生じた可能性がある」と推測する。
トルコ・シリア地震は、断層面が水平方向にずれて起こる横ずれ断層型の内陸地震だった。16年に発生した熊本地震も、内陸直下の活断層が横ずれした。熊本で最大震度7を記録した2回の地震では、異なる断層が連鎖していた。
「トルコで起こった地震と熊本地震は性質が似ている。しかし、熊本地震の震源断層の長さは30kmほど。トルコの地震の方がはるかに震源断層が長く、内陸地震としては世界で最大級の地震の1つだ」(遠田教授)
東アナトリア断層帯の周辺には複数の断層が分布している。遠田教授は「今後も、他の断層で連鎖的に大きな地震が発生する恐れがある」と指摘する。