建設3DプリンターメーカーのPolyuse(ポリウス、東京・港)は第三者割当増資で7億1000万円の資金調達を実施し、量産体制の整備や製品の改良を進める。同社が2023年2月15日に明らかにした。
ポリウスは19年に創業したスタートアップ企業だ。21年4月に約8000万円を調達して以来2度目の資金調達となる。「コンクリート構造物を施工する新たな選択肢として、3Dプリンターを加えたい」と、同社の大岡航代表取締役は話す。
調達する資金をもとに重点的に進めるのは、量産体制の確立に向けた拠点整備や機器の施工能力強化、施工情報を集約したプラットフォーム「Polyuseweb(ポリウスウェブ)」の運用拡大などだ。
建設3Dプリンターの使用を希望する企業が多く、現状の生産能力では対応しきれていない。年間数十台を生産できるよう、神奈川県鎌倉市にある既存拠点の拡充や、首都圏での拠点増設などを検討する。
22年2月に公共工事の本設構造物として、初めて3Dプリンターで造形した集水升を国土交通省の案件で設置して以降、全国各地で使用実績を積み上げている。大岡代表によると、今後数カ月で全ての都道府県を網羅できそうだ。
23年2月時点で22年度の目標工事数の30件を達成した。23年度は約60件と前年度の2倍を目指す。共同施工や研究などに取り組むパートナー企業の数は、23年2月時点で50社と1年前の10倍に達している。
パートナー企業の大半を占めるのは中小企業だ。「建設3Dプリンターによる施工と、そのサポートについては、誰でも容易に扱えるようにすることを大事にしている」(大岡代表)
ポリウスが取り扱う建設3Dプリンターは、門形(ガントリー形)のフレーム内でノズルを動かすタイプ。比較的小型で簡単に持ち運べるのが特徴だ。1500万~2000万円程度と、産業用ロボットアームを採用した数千万円する海外製のプリンターよりも安い。
今後、日量数立方メートルにとどまっている施工能力の向上を図る他、環境配慮型コンクリートなど多様な素材に対応させる。橋脚など大規模なコンクリート構造物を施工できるモデルの開発も進める。
建設3Dプリンターで施工する前段階からの支援業務も充実させる。社員数を約1年半後に、現在の2倍の40人に増やす予定だ。「支援部門にも技術に理解のある人を採用したい。高齢で現場監督を引退した方などに、セカンドキャリアとして選んでほしい」と大岡代表は語る。