国土交通省は建設業の働き方改革の一環で、直轄土木工事の工期設定指針を2023年4月1日に改定する。熱中症を防ぐために作業を止める日として猛暑日を「天候不良などによる作業不能日」に加える。作業不能日と休日との重複分を差し引かずに数えるルールも明記する。同省が2月28日に発表した。
国交省はこれまで、真夏日の日数に応じた現場管理費の割り増しや、熱中症対策費用の共通仮設費への計上といった施策を進めてきた。さらに工期の設定に踏み込み、建設会社がより熱中症対策に取り組みやすい環境をつくる。
具体的には午前8時から午後5時までで暑さ指数(WBGT)が31以上となる時間を年間で集計し、1日8時間として日数に換算する。この値を5年間で平均し、「猛暑日日数」と設定。雨や雪などによって作業ができない日数と合わせて作業不能日の数とする。
工期を算出する際には休日数と作業不能日の数を別々に加える。従来は過去の作業不能日を集計する際に、雨天日と休日が重なった日を1日として計上して工期が短めに算出される例があった。
特記仕様書に記載した猛暑日の日数以上に現場で猛暑日があり作業を止めざるを得なかった場合は、工期延長を請求できる。
他にも、工事の準備・片付けの期間に重機の組み立てや解体、検査データの作成といった作業にかかる日数を必要に応じて盛り込めることを明確にする。施工現場周辺で開催される祭りによる通行や作業の制限など地域ごとの実情を工期に反映しやすくなるよう、指針に例を示す。指針と併せて、積算に用いる標準歩掛かりを基に施工に必要な日数を自動算出する「工期設定支援システム」も改定する。
国交省が福岡県内の道路改良工事を対象に新たな指針を使って工期を試算したところ、従来の365日から少なくとも19日増加することが判明した。