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事故発生直後の助人(すけっと)トンネル坑内の様子。側壁に取り付けた仮設照明用のケーブルが乱雑な状態になっている(写真:奈良県)
事故発生直後の助人(すけっと)トンネル坑内の様子。側壁に取り付けた仮設照明用のケーブルが乱雑な状態になっている(写真:奈良県)
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 奈良県は2022年5月に補修工事中のトンネルで2人が死傷したバイクの転倒事故について、壁から外れて道路上に垂れ下がった仮設照明のケーブルに接触したのが原因だと明らかにした。23年2月13日に事故の調査報告書を公表した。

平時の助人トンネルの坑口(写真左)と坑内。本設の照明は天井に付いている(写真:奈良県)
平時の助人トンネルの坑口(写真左)と坑内。本設の照明は天井に付いている(写真:奈良県)
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 事故は十津川村の国道168号助人(すけっと)トンネルで起こった。同トンネルは延長555mで1959年に完成した。路面から天井までの高さが中心部は5mあるが、路肩付近は約3.5m。坑口の断面が現行の道路構造令に基づく建築限界を満たしていない。トンネル内の車道の幅は5.5mにとどまる。

■トンネル補修工事で照明のケーブルを側壁に移設
■トンネル補修工事で照明のケーブルを側壁に移設
図中の「五條」は奈良県十津川村の北に位置する奈良県五條市、「新宮」は南東に位置する和歌山県新宮市のこと(出所:奈良県)
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 管理者の県は、2018年1月の定期点検を経て、21年9月~22年11月の工期で森下組(奈良県大淀町)にひび割れや漏水の補修工事を発注した。森下組は工事のため天井の照明をケーブルと共に一部撤去し、側壁に照明とケーブルを仮設した。

事故発生前に設置した仮設照明ケーブルの正常な状態(写真:奈良県)
事故発生前に設置した仮設照明ケーブルの正常な状態(写真:奈良県)
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 22年5月2日午前11時30分ごろ、県職員が道路パトロールで助人トンネルを通過した際、仮設の照明ケーブルに異常は認められなかったという。