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 大成建設は山岳トンネルの先進ボーリング調査において、湧水帯の水量・水圧を測定する装置の設置や回収にかかる時間を従来の半分以下に短縮する技術を開発した。削孔の開始地点からロッドを延ばす代わりに水圧で測定装置を送り込み、測定後はウインチを使って素早く回収する。大成建設が2023年3月16日に発表した。

大成建設が開発した「水圧圧送方式」のパッカー。従来方式よりも設置や回収にかかる時間が短い(写真:大成建設)
大成建設が開発した「水圧圧送方式」のパッカー。従来方式よりも設置や回収にかかる時間が短い(写真:大成建設)
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 山岳トンネルの工事では突発湧水のリスクを低減するために、切り羽の前方の地中に向けて小さな穴を開けて湧水帯の分布を調べる。孔壁の崩壊を防ぎながら効率良く測定することが重要だ。大成建設は20年に、「パッカー」と呼ぶ測定用装置を地山に挿入する際に削孔管を引き抜かない技術「T-DrillPacker(ティードリルパッカー)」を開発。複数の現場に導入してきた。

大成建設が2020年に開発した「T-DrillPacker」。削孔管を引き抜かずにパッカーを挿入する(出所:大成建設)
大成建設が2020年に開発した「T-DrillPacker」。削孔管を引き抜かずにパッカーを挿入する(出所:大成建設)
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 パッカーは袋状のゴム製の部材が先端に付いている測定用装置だ。湧水の水量や水圧を測るために削孔ビットの回収後に穴の先端まで挿入。加圧膨張させて孔壁に密着させることで、測定したい湧水の外部流出を防げる。

 従来は長さ1.5mのロッドを継ぎ足しながらパッカーを約100m前方まで押し込んでおり、作業時間がかかっていた。そこで大成建設は今回、パッカーの設置・回収の作業を効率化する「水圧圧送方式」を開発した。

従来型の「T-DrillPacker」。長さ1.5mのロッドを継ぎ足しながらパッカーを押し込んでいたため作業時間がかかっていた(出所:大成建設)
従来型の「T-DrillPacker」。長さ1.5mのロッドを継ぎ足しながらパッカーを押し込んでいたため作業時間がかかっていた(出所:大成建設)
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