内閣府は、領海や排他的経済水域(EEZ)を決定する基線となる「国境離島」の消失を防ぐため、継続的なモニタリングに着手する。2023年度は、重点的に状況を把握する対象を決める。今後のモニタリング結果を見て、対策工事が必要かどうかを判断する。
日本の領土の沿岸から12カイリ(約22km)までの領海で主権、200カイリ(約370km)までのEEZで天然資源の開発権が国際的に認められている。それらの権益は、干潮時のみ海面の上に出現する「低潮高地」でも認められる。
日本の領海やEEZの範囲に影響を与える島や低潮高地を、国境離島として国が保全・管理する。関係府省庁による17~22年度の調査で、現存する国境離島は473島であることが分かっている。
関係府省庁が全ての国境離島をモニタリングするのは現実的ではないので、重点的に把握する対象を絞ることにした。その絞り込みのため、23年度予算で内閣府総合海洋政策推進事務局の活動経費の一部を充てた。
内閣府総合海洋政策推進事務局の有人国境離島政策推進室の担当者は、「本土から離れた外洋に孤立し、広大なEEZの基線となるなど、消失した際の影響が大きい国境離島を重点把握の対象とする」と話す。
「22年度までの調査で、473島の国境離島がしっかりと存在することを確認済みだ。現時点で対策工事は必要ないと認識している」(同担当者)