横浜市の工事成績評定が2022年度監査で事実との相違を多数指摘された問題で、監査を受けた市の部署が、指摘を受けた事情について日経クロステックの取材に応じた。評定で用いる文書でのずさんな記載や記載漏れを、監査で事実誤認と解釈されたという。評定対象の建設会社などが不利益を被る誤りはなかったとの認識を示した。
22年度監査では、事実と異なる評定の事例が多数挙がった。例えば、市環境創造局公園緑地整備課が発注した工事で、工事が完成していたにもかかわらず、「事業者の責により工事が完成せず、打ち切りとなった」と評定した。
誤った評定を受けたのは、ある公園に設置した消火設備の改修工事だった。田畑有紀子課長によると、施工者の工程管理に甘さがあったため、完成が当初契約の工期に間に合わなかった。契約変更による工期延長を経て完成した。
同課の工事成績の評定には、工期的な制約がある中で、余裕をもって工事を完成させたかどうかを評価する項目があり、「余裕をもって工事を完成させた」「工事が完成せず打ち切りとなった」「制約がある工事に該当しない」といった事例の中から適合するものを選ぶ。工期延長を想定せず、「工期延長を経て工事が完成した」という事例を記載していなかった。
そこで同工事の監督員は、「工事が完成せず打ち切りとなった」の選択肢がこの工事の実態に最も近いと判断して、選択した。それが市監査委員には事実と異なる評定と見なされた。
田畑課長は、「最終的な評定は総合的に判断して決めており、この項目で実態よりも厳しい評定をしたからといって不当に低くなってはいない」と釈明する。工期に関する評定の項目で、選択肢となる事例の見直しを検討するという。
同課はこの他、公園の照明灯の更新工事の施工者が週1回以上の休日を確保していることを確認しながら、「確認できない。確保されていない」と評定した。これは「監督員が週休2日のチェックと間違えたため」(田畑課長)だという。「週休2日の確保に伴う加点をやめただけなので、このケースでも施工者の不利益はない」(田畑課長)