ニュース解説:土木
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国交省職員が建設会社に見返り要求、秘密情報の提供を働きかけ
国土交通省の職員が入札に関する秘密情報の漏洩を図った事件で、働きかけた建設会社に対し、見返りとして報酬を要求していたことが判明した。入札への参加が見込まれると考えて職員が接触した相手は15者に上る。国交省関東地方整備局が2022年9月21日、内部調査の結果を公表した。
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指名入札は「地元受注に効果あり」、福島県が本格導入を検討か
談合防止を目的に廃止した指名競争入札が、福島県で本格的に復活する可能性が高まってきた。県が一般競争入札の問題点と認識する地元企業の受注率の低さが、2020年度から試行している指名競争で「改善」されたからだ。県は、22年9月6日に開いた入札制度等監視委員会(委員長:伊藤宏・福島大学名誉教授)で、指名…
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長野県が議会の議決経ずに工費増額、労働者や資材の調達難で
2019年の東日本台風(台風19号)で被害を受けた河川の復旧工事で、長野県が必要な県議会の議決を経ずに工費増額の変更契約を締結していたことが分かった。労働者や資材の調達難で契約変更が重なり、工費が議決対象の5億円以上に達していたことを見落とした。
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中小建設業承継、「鉄骨・鉄筋」「土木」は比較的明るい見通し
後継者難に悩む中小企業が多いなか、建設業では経営者の6割以上が後継者未定との調査結果が出た。ただし工種ごとの違いがあり、鉄骨・鉄筋工事業や土木工事業などは比較的、後継者に恵まれていることが分かった。
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“リニア残土”にまたコンクリ混入、清水建設に続き佐藤工業も
リニア中央新幹線の岐阜県内のトンネル工事で、廃棄物処理法が禁じる建設発生土(残土)へのコンクリートの混入が相次いでいる。約1年前の日吉トンネル工事(瑞浪市)に続き、新たに第一中京圏トンネル工事(多治見市)で発生した。
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CPコンクリートを初めて現場打ち、炭酸水に浸すだけのCO2固定化技術
炭酸水に浸すだけでCO2の固定化と「廃コンクリート」の再資源化を同時に実現できる「カーボンプール(CP)コンクリート」。その実用化に向けて、安藤ハザマと大成ロテック、内山アドバンス(千葉県市川市)は2022年8月31日、初めての現場打ち試験を東京都内で実施した。
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示方書の解釈誤り橋台が耐力不足、設計者の負担で補修
山梨県が建設を進めている県道梁川(やながわ)猿橋線の橋に設計ミスがあり、橋台の耐力が不足することが判明した。設計者の千代田コンサルタント(東京・千代田)が道路橋示方書の解釈を誤った。県は同社を2022年8月29日から1カ月の指名停止とした。橋台は既に、耐力不足を補うための拡幅工事を終えている。
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「市の裁量権の逸脱・乱用」、公園内ごみ収集車専用道の違法性確定
東京都日野市がごみ収集車の専用道路を公園内に設けたのは違法だと住民らが訴えた訴訟で、最高裁は2022年9月9日、市の上告を退ける決定を下した。これによって、ごみ収集車専用道の設置を違法とし、大坪冬彦市長に2億5000万円余りの賠償を命じる判決が確定した。
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「自動化施工を普及させたい」、鹿島とNECが新会社
鹿島とNECは、自動化施工システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」の普及を目指す新会社「KNC Planning(ケイエヌシープランニング)」を共同で設立した。設立日は2022年8月10日だ。重機の自動運転や施工計画の自動立案といった技術から成る同システムによって、建設現場の人手不足の緩和を図…
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建設業で増える「物価高倒産」、資材高騰がコロナ禍に追い打ち
資材や原燃料などの価格高騰による倒産が増えてきた。帝国データバンクの調査によると、2022年8月の「物価高倒産」は34件と、前年同月比で2.6倍に急増。これまで最も多かった22年7月の31件を上回り、2カ月連続で過去最多を更新した。
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全面開通の前日に道路崩落、災害復旧の完了直後に再び
災害復旧工事を終えて翌日に全面開通を控えていた山岳道路「乗鞍スカイライン」(岐阜県高山市丹生川町)が2022年9月9日、再び崩落した。現地では前日の夜から雨が降っていたものの、気象庁のデータによると、付近の観測地点における降り始めから事故発生時までの総雨量は30mm弱にとどまる。復旧工事の設計や施…
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建設業協会の会長輩出企業で労災隠し、工事の続行が不能に
高知県建設業協会の会長を輩出した地場大手建設会社の轟(とどろき)組(高知市)が、道路工事の現場で発生した労働災害を隠そうとして、行政から“制裁”を受けている。安芸労働基準監督署は書類送検した他、工事を発注した国土交通省四国地方整備局が同社を4カ月の指名停止とした
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淀川左岸線の全線開通が最大8年遅れ、万博会期中の暫定供用で追加工事
大阪市は、2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)の会場となる夢洲(ゆめしま)とJR大阪駅方面などをつなぐ阪神高速「淀川左岸線」の2期区間の全線開通が予定よりも最大8年遅れて32~34年度となる見通しを示した。地盤改良の工法変更に伴って工事が長引いたため、万博の会期中の暫定供用に向けた追加工事など…
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厚労省が水道行政を国交省などに移管、水管橋崩落事故も影響か
政府は、厚生労働省が担ってきた水道施設の整備・管理業務を国土交通省に移管する。新型コロナウイルス感染症への厚労省の対応力の強化に向けた組織改革の一環だ。2023年の通常国会に関連法案を提出し、24年4月に新体制に移行する。
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「勝てる土俵」に持ち込めず国が一部敗訴、鬼怒川水害訴訟
2015年9月の関東・東北豪雨の水害を巡る住民訴訟で国が一部敗訴した異例の事態は、「勝てる土俵」に持ち込めなかった国の誤算が原因だった。これまで国の主張が認められてきた「河川整備計画の合理性」とは別の観点で争われた形だ。判決では、河川区域の指定に関して河川管理の瑕疵(かし)があったと認定された。
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残土処理で建設会社に“圧力”、国交省が次々繰り出す不正防止策
建設発生土(残土)の不正処理を防ぐため、国土交通省が建設会社への“圧力”を強めている。資源有効利用促進法に基づく勧告・命令の対象事業者や再生資源利用促進計画などの対象工事を拡大する。
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橋の設計で基準線誤り杭がずれる、橋脚は正しい位置に施工へ
大日本コンサルタント(東京・千代田)が手掛けた道路橋の設計にミスがあり、基礎杭(ぐい)を含めた橋脚4基の位置が約20~300mmずれていたことが分かった。そのうち2基は、ミス判明時点で基礎杭の施工が終わっていた。橋脚のみ正しい位置に設置しても構造上の問題はないため、杭はそのままにする。未施工の2基…
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コンクリートがらを蒸して100%再利用、強度も2.5倍以上に
東京大学生産技術研究所は、砕いて粉末にしたコンクリートのがれきを圧縮して高温・高圧で蒸すことにより、従来の圧縮強度を超えるコンクリートとして100%リサイクルする技術を開発した。リサイクル時にセメントなど新たな材料を投入する必要がなく、副産物も発生しない。
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受け入れ枠6000人減でもメリット、特定技能見直しで多能工化に道
政府は、人手不足の業種で一定の技能を持つ外国人の就労を認める特定技能制度を見直し、建設分野の受け入れ枠を従来計画から6000人削減する。一方で、対象の外国人の業務範囲を拡大し、1人で複数の作業をこなす多能工のような働き方を認める。
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治水と利水の容量融通でフル活用、ハイブリッドダムの取り組み始動
国土交通省は、治水と発電、地域振興を組み合わせた「ハイブリッドダム」と呼ぶ既存ダムの新しい運用を始める考えだ。従来の多目的ダムよりも洪水調節の自由度を高めて、治水機能や発電容量を向上させる。