ニュース解説:土木
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北海道新幹線の事業費が6445億円増、資材高騰や追加工事など響く
国土交通省は、2030年度の開業を目指す北海道新幹線の札幌延伸の事業費が、資材価格の高騰や追加工事の発生などで当初の計画より6445億円増加し、2兆3145億円に上る試算を発表した。一部の工事は最大4年程度遅れているものの、開業時期の延期については言及していない。
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市内全域を対象とする初の下水道コンセッション、三浦市で23年4月から
神奈川県三浦市は2023年4月に開始する公共下水道の運営事業について、前田建設工業を代表企業とするSPC(特別目的会社)と22年12月末までに実施契約を締結する。自治体が施設を所有したまま運営権を民間企業に売却するコンセッション方式を採用した。市内全ての公共下水道施設を対象に、同方式で維持管理から…
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鳥取県が国の道路補助金25億円を喪失か、手続きの遅れで
鳥取県監査委員の2021年度決算の監査で、職員の手続きミスによって県が約25億円に上る国の道路事業補助金を受け取れなかったことが分かった。県庁の中で、道路整備と会計の各担当部署の意思疎通が不十分だったことも判明した。
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自治体の枠超えインフラの選別急げ、国交省の専門部会が提言
国土交通省の専門部会は笹子トンネル事故から10年となったのを機に、インフラの維持管理体制を見直すよう求める新たな提言をまとめた。小規模の自治体を中心に老朽化対策の遅れや技術者の不足が目立つ中、広域的な視点に基づくインフラ施設の取捨選択や自治体同士の協力を提案。道路や河川など分野をまたいだ包括的民間…
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弾性波で地下30mまでの地質を短期間に調査、「南西防衛」での活用も期待
大和探査技術(東京・江東)は、小規模な弾性波(S波)を起こす震源装置を用いて、地下30mまでの浅い箇所の地質を探査できる手法を開発した。ボーリング調査と組み合わせれば、調査の迅速化と精度向上を両立できる。地盤の固さに左右されず短期間で広範囲に調査できることから、自衛隊が手掛ける南西諸島での防衛拠点…
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詳細不明の水道管をAIが推定して補完、中小自治体の台帳整備を後押し
インフラ老朽化の予測技術を手掛ける米FRACTAの日本法人、Fracta Japan(東京・渋谷)は水道事業者が保有する水道管路台帳の欠損をAI(人工知能)で補完するサービスの提供を始めた。記録が残る周辺の管路や水道施設の情報を基に、管の口径や素材、敷設年数を自動で推定する。老朽化が進む水道インフ…
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福島県の地震被害想定を24年ぶり見直し、最大で死者1600人・建物被害3万棟
福島県は、地震が発生した場合の被害想定を1998年以来、24年ぶりに見直した。前回より規模の大きな地震を想定したこともあり、人的・物的被害が大幅に増加した。県が2022年11月25日に発表した。
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外環道で2年ぶりに大深度地下の掘進再開、陥没事故と反対の大泉JCT側から
東京外かく環状道路(外環道)の大深度地下トンネル工事で、東京都練馬区の大泉ジャンクション(JCT)側からシールド掘進工事が始まる。2022年12月8日に事業用地の外へ出るための作業に着手し、練馬区から東京都武蔵野市まで掘り進める。大深度地下での本格的なシールド掘進は20年10月に調布市で地表の陥没…
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6割以上の建設会社が賃上げを表明、国交省の入札加点
国土交通省は、総合評価落札方式の入札で2022年4月に導入した賃上げ表明企業への加点制度について、8月末時点で参加者の6割以上が加点を受けていると明らかにした。落札者に限定すると約7割が加点されていた。
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気候変動踏まえ防潮堤を最大1.4mかさ上げ、東京都が全国に先駆け
東京都は気候変動に伴う海面上昇や台風の強大化を見据え、既存の防潮堤を最大1.4mかさ上げする計画をまとめた。国土交通省によると、温暖化を踏まえた防潮堤の整備計画の作成は全国で初めて。降雨量が従来の1.1倍に増えると見込んで内水氾濫の防止にも取り組む。2022年11月7日に東京湾沿岸海岸保全基本計画…
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CO2排出量が実質ゼロ未満のコンクリート型枠、鹿島などが現場に初適用
鹿島とデンカ、竹中工務店の3社が幹事のコンソーシアム「CUCO(クーコ)」は、製造過程の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロ未満にできるコンクリート製の「CUCO-SUICOM(クーコスイコム)型枠」を開発。トンネル工事で初適用した。
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誤って「氾濫危険水位」を配信、橋の吊り足場を水位計が検知
鹿児島市を流れる2級河川の甲突(こうつき)川について、避難指示を出す目安となる「氾濫危険水位」の情報が誤って発信された。川に架かる橋に設置された水位計が、橋の塗り替え工事の吊り足場を水面と誤検知した。民間の気象情報サービスにも誤った水位情報が配信された。
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道路を活用して太陽光発電、国交省が技術指針策定へ
国土交通省は、道路への太陽光発電施設の設置に関する技術指針を策定する。これまで設置場所の考え方を示した指針がなく、道の駅や料金所の上屋など比較的設置が容易な場所に限られていた。22年度中に指針案をまとめる方針だ。
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コンクリート表層に薬剤を練り混ぜ、寒冷期の待機時間を2~4時間短縮
飛島建設は、寒冷期に少量の薬剤をコンクリートの表層に加えて凝結を促進する工法「T-CROW」を開発した。コンクリートを打ち込んだ後、上面の仕上げに着手するまでの待機時間を2~4時間短縮できる。
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下請け処遇で建設会社の本社と現場に温度差、国交省調査
建設会社の下請け会社との取引状況に関する国土交通省の調査で、支店や支社と本社との間で標準見積書の活用姿勢などに大きな差があることが分かった。元請けと下請けとの取引の適正化は必ずしも進んでいない。
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トラックで運べる汚染水の浄化装置、水抜き不要で防衛施設にもニーズ
前田建設工業とメタウォーターは共同で、有害物質の有機フッ素化合物のPFOSやPFOAに汚染した水の可搬式浄化装置「De-POP’s ION」を開発した。
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有害物質含むリニア掘削土を遮水シートで封じ込め、JR東海が御嵩町民に説明
リニア中央新幹線のトンネル工事で発生するヒ素などを含む「要対策土」を巡り、処分候補地のある岐阜県御嵩(みたけ)町の住民から反発の声が上がっている問題で、JR東海は有害物質を封じ込める具体的な対策工法を住民に説明した。同社は町から処分地を買い取り、恒久的に管理したい考えだ。
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公共インフラを自衛隊が利用できる水準に、予算に「特定枠」新設へ
政府は安全保障の観点からインフラ整備を支援するため、従来の公共事業関係費とは別に省庁横断の「特定枠」を2024年度予算で設ける考えだ。防衛力の「抜本的強化」に向けて、5年以内に国内総生産(GDP)比2%以上への防衛費増額を目指すとした骨太の方針を受けて、新たな予算制度を打ち出した。
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地下の掘削現場を「デジタルツイン」、ニューマチックケーソンで遠隔施工しやすく
AI(人工知能)開発を手掛けるDeepX(東京・文京)は地下の掘削工事の状況をリアルタイムに「デジタルツイン」として再現する施工管理システムを開発した。仮想空間上で作業中のショベルや掘削する地山の形状を自由な視点で地上から見えるようにして、遠隔でショベルを操縦するオペレーターの作業効率を高める。
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農水施設の用水路の半数近くで保全計画作らず、更新費増大の恐れ
ダムや頭首工といった農業水利施設に付随する用水路などの44.5%で、予防保全に向けた計画を作成していないことが分かった。そのうち76.7%は、計画の基礎情報となる健全度を診断していなかった。対策が後手に回り、補強や更新の費用が増大する恐れがある。会計検査院が2022年10月26日に調査結果を公表し…