ニュース解説:土木
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資材高騰対策で建設会社への金融支援を強化
国土交通省は、政府が2022年10月28日に閣議決定した総合経済対策の一環として、公共工事を元請けとして受注した中小建設会社などに対する金融支援を強化する。資材価格の高騰に応じた融資の増額や追加融資の迅速化などを図る。
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「ナノバブル軽油」で重機の燃費向上、排ガスもきれいに
ナノバブル(超微細気泡)を軽油に混入することで重機の燃費を向上させる手法に注目が集まっている。建設発生土などの運搬業務を手掛ける大煌工業(埼玉県川口市)がダンプトラックで、奥村組土木興業(大阪市)が岩盤切削機でそれぞれ「ナノバブル軽油」の現場実証を進める。
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水深20mまでの「浅海域」を航空測量、日本初の海底地図で海岸線を9割網羅
日本財団と日本水路協会は2022年10月24日、全国の海岸に続く水深0~20mの「浅海域」を測量して海底地図をつくる日本初のプロジェクトを開始した。航空機によるレーザー測量で海底地形を把握し、3D地図をつくる。
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財務省が資材高騰による公共事業費増に難色、DXの効果見えず不満も
建設資材の価格高騰を踏まえた公共事業予算の増加に対し、財務省が難色を示している。国土交通省は2023年度予算の概算要求で、資材高騰に伴う必要経費について金額を定めない「事項要求」として計上。予算編成を具体化する過程で検討する方針を示していた。
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川辺川ダム整備でアユの生息脅かす恐れ、流水型でも対策が不可欠
国土交通省九州地方整備局は熊本県の川辺川に整備する流水型ダムについて、適切な対策を講じないとアユなどの生息環境に悪影響を及ぼす恐れがあるとの評価結果を明らかにした。従来の貯留型ダムと比べて環境への影響が小さいといわれる流水型でも、環境保全対策が欠かせないことが分かった。
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宮崎市が不調・不落対策で一般競争入札を拡大、指名競争で辞退者相次ぐ
宮崎市は、これまで指名競争入札で発注していた予定価格6000万円未満の建設工事の一部で、条件付き一般競争入札を試行する。指名競争では辞退者が多く不調や不落が目立つため、多くの参加者が見込める一般競争の対象を広げた。市が2022年10月13日に発表した。
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近赤外線を照射して土砂の含水比を測定、西松建設などが装置を開発
西松建設と西華デジタルイメージ(東京・港)は共同で、土工事などで使う土砂の含水比を近赤外線発光ダイオード(LED)と近赤外線カメラで測定する装置を開発した。現場で採取した土砂に近赤外線を照射して撮影すれば、準備から2~3分で含水比を測定できる。
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地盤陥没でクレーンが転倒、護岸からの吸い出しで空洞か
長野県上田市内を流れる矢出沢川の浚渫(しゅんせつ)工事で、護岸脇のコンクリート舗装が陥没してクレーンが転倒した。護岸からの土砂の吸い出しで、舗装の下に空洞が生じていたとみられる。発注者の県は2022年10月12日、クレーンの設置場所に対する施工者の安全確認が不十分だったために、事故が起こったと明ら…
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土砂噴出を招いた致命的な「判断ミス」、大阪のトンネル閉じ込め事故
大阪府守口市で掘削中のシールドトンネルに土砂が流入し、作業員が2日間閉じ込められた事故から10カ月。発注者がまとめた中間報告書で、事故当時の詳しい状況が判明した。地上のマシンオペレーターは、搬出用容器からが土砂があふれている目先のトラブルだけを認識。隠れた深刻な不具合に気づかなかった結果、致命的な…
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シールド機のカッタービット摩耗を色と匂いで把握、大林組
大林組は、トンネル工事で使うシールド機先端のカッタービットの摩耗状況を、掘削土砂の色と匂いで把握する装置「摩耗検知ビット」を開発し、実用化した。
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「脱炭素」を入札で評価も、国交省がカーボンニュートラルへ本腰
国土交通省は、脱炭素に取り組む企業に対して総合評価落札方式の入札や工事成績評定でインセンティブを与える仕組みについて検討を始めた。2022年10月11日に有識者や建設業団体などでつくる懇談会を開き、試行工事の例や海外の動向を報告した。
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橋脚流失から半月後に桁が崩落、支保工などの対策せず
静岡県藤枝市北部で2022年10月10日、滝沢川に架かる押越橋が崩落した。同橋では半月ほど前の9月24日に、台風15号による増水で2本の橋脚のうち左岸寄りの1本が流失していた。その橋脚が支えていた2径間の桁が、V字形に曲がって落ちた。人的被害はなかった。
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「緩まないネジ」が関門橋の損傷度合いを監視
NejiLaw(ネジロウ、東京・文京)はIHI、IHIインフラシステムと共同で、センサー機能を備えたネジによる長大吊(つ)り橋のモニタリングシステムの運用を開始した。離れた場所から橋の部材間で生じる応力を常に把握でき、地震や強風があれば部材の損傷度合いをAI(人工知能)が自動で推定する。
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北海道新幹線の事業費増大か、資材高騰や追加工事で試算し直し
2030年度の開業を目指して工事が進む北海道新幹線の札幌延伸で、資材価格の高騰や追加工事の発生などによって事業費が膨らむ恐れが出てきた。国土交通省は費用を試算し直す考えだ。同省が12年に認可した事業費1兆6700億円を変更する可能性がある。
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外環道陥没事故の地盤補修は23年春以降、東日本高速が工事概要を公表
東京外かく環状道路(外環道)の大深度トンネル工事に伴う地上の陥没事故で、発注者の東日本高速道路会社は緩んだ地盤の補修工事を2023年春以降に実施する。早ければ22年11月に、プラント設備や材料の輸送管の設置に着手する。東日本高速が22年10月7日、東京都調布市内で開催した住民説明会で工事の概要を公…
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パシコンのコンサル登録を60日間停止、富山市の官製談合で社員有罪
国土交通省関東地方整備局は、富山市の官製談合を巡る訴訟でパシフィックコンサルタンツ社員の有罪判決が確定したことを受け、同社の建設コンサルタント登録を2022年10月21日から60日間停止する。この談合事件で当時の取締役と従業員の2人が有罪となったGK設計(東京・豊島)は、登録を22年10月21日か…
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建設現場の遠隔臨場で時間削減、施工者の9割が実感
建設工事の段階確認や材料確認などを発注者の監督職員が現場から離れた場所で実施する「遠隔臨場」について、施工者の9割が時間削減の効果を実感していることが国土交通省関東地方整備局の調査で明らかになった。関東地整が2022年10月7日に調査結果を公表した。
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自動運転を支援する「塗料のレール」、常時運行のシャトルバスで実証
日本ペイントホールディングス傘下の塗装メーカー、日本ペイント・インダストリアルコーティングス(東京・品川)は、路面に塗って自動運転車の走行を支援する塗料「ターゲットラインペイント」を開発し、常時運行する自動運転バスの走行ルート上に初めて施工した。これまで数日間の実証実験に使ったことはあったが、長期…
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鉄鋼スラグ使った改質土を海底で原位置施工、JFEスチールなどが開発
JFEスチールは、軟弱な海底地盤の表層を原位置で改良する「カルシア改質土のバッチ式原位置混合工法」を共同開発した。鉄鋼スラグが原料のカルシア改質材と海底地盤の粘土などとを混合する「カルシア改質土」の施工を、密閉式バケットによって海底で完結する。2022年7月から2カ月間、広島港沖で実証実験を実施し…
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「設計ミス」巡る訴訟で大阪府の過失を8割から4割へ、阪神高速大和川線
阪神高速大和川線のたて坑工事を巡り、設計ミスで工費が増大したとして、発注者の大阪府が設計者の日本シビックコンサルタント(東京・千代田)に約61億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2022年9月29日、大阪高裁であった。高裁は、府と設計者の双方に過失があったと認めたうえで、府の過失割合…